2020.2.1

パートと派遣社員は何が違う?働きやすいのはどっち?

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「求人のパートと派遣社員ってどっちがいいの?」と思われている方も多いのではないでしょうか。パートと派遣社員は似ているようで大きな違いがあります。そこで、この記事ではパートと派遣社員の違いについて分かりやすく解説していきます。パートと派遣社員の概要やメリット、デメリット、主婦の方であればどちらが最適なのかについても紹介しているので参考にしてみてください。

1.パートと派遣社員の違いは?

まず、パートと派遣社員の概要と雇用条件に関する違いについて解説していきます。パートと派遣社員では契約内容に関して大きな違いがあるので、自分が求めているのはどちらの雇用形態なのかを判断する参考にしてみましょう。

1-1.パートとは

パートとはパートタイムの略称で、雇用主と契約を結び雇用主や上司の指示のもと、雇用契約の内容に規定された範囲内で労働を行うことをいいます。契約は勤務先となる会社と行うため、給与の支払いや福利厚生も勤務先の会社のものが適用されます。パートと同じような意味で使われる言葉に「アルバイト」がありますが、法律上ではパートタイムとアルバイトの区別はありません。

一般的に「パート=主婦の方が行うもの」「アルバイト=学生が行うもの」という認識がありますが、これも企業側が便宜上、区別しているだけです。パートタイム労働法では「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」をパートタイム労働者(短時間労働者)といいます。法律上、パートタイム労働者でも一定の労働時間を超えると正社員と同じように厚生年金や社会保険への加入、有給休暇の取得が可能です。さらに、実質的な職務内容及び人材運用の方法が同じであれば、パートで働いている労働者と正社員を賃金決定や施設の利用に関して差別してはいけないという決まりもあります。

1-2.派遣社員とは

派遣社員とは、派遣会社と派遣契約を結び派遣された勤務先で労働に従事する労働者のことをいいます。パートとの違いは「勤務先に直接雇用されているかどうか」という点です。パートでは、勤務先の雇用主と直接雇用契約を結ぶのに対して、派遣社員は派遣会社と派遣契約を結びます。ですから、給与の支払いや福利厚生は派遣会社が行うことになります。

勤務先での労働において、指示や命令は派遣先となる企業の上司や雇用主から受けます。実際に現場で働いている分にはパートと派遣社員では大きな違いはありません。派遣社員には登録型派遣と無期雇用派遣(常用型派遣)の2種類があります。登録型派遣とは、派遣会社に人材登録を行い、派遣先企業とマッチングが成功した段階で派遣会社と雇用契約を結ぶことです。派遣先企業が決定するまでの間は派遣会社との間に雇用関係はありません。

一方、無期雇用派遣とは派遣会社の社員として採用され、派遣先企業が決定した段階で勤務先が派遣先企業に変わる派遣のことをいいます。最初から派遣会社の社員として採用されているため、派遣先企業が決定するまでの間も派遣会社から給与の支払いや福利厚生の提供を受けることが可能です。

2.パートで働くメリット・デメリット

次はパートで働くメリットとデメリットについて解説していきます。派遣社員との違いをしっかりと把握して自分に最適な雇用形態を選択しましょう。

2-1.メリット

パートの主なメリットは「求人件数が多い」「時短勤務、週3~4の仕事もある」「未経験者OKの仕事が多い」という点です。まず、パートは派遣社員と比べて求人が豊富にあります。派遣社員を雇う場合、企業側は派遣会社に対して人材の仲介手数料を支払わなければなりません。現場の即戦力が欲しいという場合、高い仲介手数料を支払ったとしても企業側にとってはメリットがあります。

一方、パートであれば直接雇用契約を結ぶため派遣会社に仲介手数料を支払う必要はありません。求人を出したとしてもいきなり即戦力となる人材が来る可能性は低くなりますが、その分、コストをかけずに人材を採用することができます。採用コストを抑えたいという企業が多いため、派遣に比べてパートの方が求人数は多い傾向にあります。また、パートは勤務先での直接雇用なので雇用主と相談して自分の生活スタイルに合わせた柔軟な勤務(時短勤務や週3勤務)ができる場合が多いのも特徴です。さらに、最初から即戦力を求められるのではなく、長期的にみて仕事を覚えてもらえればいいと考えている企業も多いため未経験OKの求人も多い傾向にあります。

2-2.デメリット

パートのデメリットは「賞与や退職金がない」「福利厚生があまりない」という点です。パートで働く場合、基本的に賞与や退職金はでません。勤務先によっては寸志が出る場合もありますが、基本的には時給×労働時間分の給与しかもらえないと考えておきましょう。そして、派遣社員と比較した場合、時給が低いというデメリットもあります。柔軟な働き方ができる分、給料は抑えられている傾向にあるのがパートの特徴です。さらに、福利厚生に関しても一定の条件を満たせば正社員と同じ扱いを受けることができますが、時短勤務など条件を満たさない場合、満足な福利厚生の提供を受けることができません。厚生年金や社会保険への加入ができない場合もあるので注意が必要です。

3.派遣社員で働くメリット・デメリット

次に、派遣社員で働くメリットとデメリットについて解説していきます。派遣社員はパートと比べればメリットも多いですが、もちろんデメリットもあるので事前にしっかりと把握しておきましょう。

3-1.メリット

派遣社員のメリットは「給与や待遇の交渉を派遣元が行ってくれる」「自由度が高い」「仕事を選びやすい」という点です。パートの場合、給与や雇用条件の交渉は直接雇用主と行う必要があります。一方、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結んでいるため、雇用面に関する交渉は派遣会社が代わりに行ってくれます。給与アップや処遇改善を直接、交渉しなくても良いのは大きなメリットです。

また、派遣社員はあくまでも一定期間、派遣先企業で労働を行う社員のため雇用期間が終われば次の派遣先で勤務することになります。この点、パートは特段の定めがない限り無期限で雇用が約束されているため、同じ勤務先で長期間働くことになります。派遣社員であれば、雇用期間終了後は自由に次の職場を選択することが可能です。また、自分が身に着けたいスキルを得るために職場を選ぶこともできます。職場選択の自由度が高いことが派遣社員のメリットです。

3-2.デメリット

派遣社員のデメリットは「派遣期間に上限がある」「正社員と待遇が違う」という点です。派遣社員は派遣先企業と3カ月や半年といった期間で契約の更新を行います。派遣先企業との契約更新が上手くいかない場合、長期間働きたいと考えていてもその職場では働き続けることができません。また、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結んでいるため、給与や福利厚生は派遣会社から提供されます。勤務先の正社員と同じような業務を行っていたとしても、待遇は大きく変わるため注意が必要です。

4.主婦はパートと派遣社員どちらがおすすめ?

主婦が働く場合、パートであれば勤務時間にある程度融通を効かせやすくなります。パートであれば雇用主と直接契約を結んでいるため、雇用主から承諾を得れば時短勤務や欠勤にも柔軟に対応してもらうことが可能です。一方、派遣社員の場合、欠勤や時短勤務は基本的にNGです。最初に契約した労働条件で働くことが義務付けられているため、所定の労働時間を勤務しないことは許されません。勤務時間に柔軟な対応を求めるのであればパートの方が最適です。

もっとも、給与面では派遣社員の方が高い傾向にあるため時給が高い仕事に就きたいのであれば派遣社員がよいでしょう。勤務時間に関しては、パートや派遣どちらの場合でも面接時に時間の融通が利くかを確認しておくことが大切です。また、給与面に関しては夫の扶養内で働くかどうかという点も重要な判断基準になります。総合的にみて自分が一番働きやすい雇用形態を選択することが大切です。

パートと派遣の違いをきちんと把握しておこう

求人を探していると時給の高さや勤務条件ばかりに目が行きがちです。しかし、上記で解説したようにパートと派遣では雇用面に関して大きな違いがあります。パートと派遣、どちらが自分にとって一番働きやすい雇用形態なのか今一度確認しておきましょう。パートと派遣の違いを理解したうえで気持ちよく働ける職場を見つけることが大切です。