2020.3.25

派遣社員は有休で長期休暇を!取得条件・手順・注意点を解説!

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派遣社員には、長期休暇が用意されているケースがあまりありません。しかし、だからといってあきらめることはせず、必要なときには有給休暇を活用して長期休暇を取るほうがいいでしょう。この記事では、派遣社員が有給休暇を使ったほうがいい理由や、有給休暇で長期休暇を取得する具体的な手順、さらに注意点などについて説明していきます。

1-1.派遣社員には長期休暇がないことが多い

企業や業種にもよりますが、通常はゴールデンウィークやお盆休み、さらに年末年始など、年に数回の長期休暇を設けているのが一般的です。そのため、これらの長期休暇がある企業に派遣された場合、休暇中は駆り出されることはありません。しかし、問題はそのあいだの収入です。実は、派遣社員の場合はこうした長期休暇がないことがほとんどで、派遣先が休暇のあいだは単なる欠勤という扱いになります。そのため、給料の対象にはなりません。派遣社員の給料は、ゴールデンウィークがある5月、お盆休みがある8月、そして年末年始休みがある12月と1月が下がりやすいといわれていますが、それはこのような事情を抱えているからです。

1-2.長期休暇を取得したいときは有給休暇を使う

では、派遣社員ができるだけ給料に影響しないように長期休暇を取るにはどのようにしたらいいのでしょうか。実は、派遣社員でも有給休暇を使うことができます。企業に直接雇用されているわけではないためイメージしにくいかもしれませんが、有給休暇を取得する権利は派遣社員にも認められています。有給休暇を消化すれば、派遣先が長期休暇に入って休まなければならないときも、給料が少なくなる心配はありません。ですから、長期休暇を取る必要があるときには、有給休暇制度を上手に活用するといいでしょう。

2.派遣社員でも長期休暇取得な条件

派遣社員でも有給休暇が取れることがわかったところで、どのような場合に有給休暇を利用できるのか条件について説明していきます。

2-1.有休取得の条件を満たしている

有給休暇が取れるかどうかは、勤務した期間で左右されます。まず、派遣社員として仕事を始めてからどれくらい経過したか確認してみましょう。有給休暇についての詳細は、労働基準法の39条で決められています。それによると「勤務してから6カ月以上経過したとき」または「労働日数の8割以上出勤したとき」に、最初の有給休暇として年間10日間が取得できることになっています。その後は、はじめの有給休暇が支給されてから1年ごとに毎年1日ずつ増える形で新たに有給休暇がもらえます。つまり、派遣社員になってから1年6カ月で年間11日、2年と6カ月では年間12日の有給休暇が取得できるということです。なお、有給休暇の最大日数は20日までと定められています。

2-2.業務に支障がでない

有給休暇を取得できても、自分だけの都合で長期休暇を取ってはいけません。派遣先の状況を見て、休暇が取れるタイミングかどうかを判断しましょう。いくら法律で認められている権利であっても、派遣先の繁忙期であったり派遣されて数日だけしか経っていなかったりすれば、迷惑をかけるうえに印象も悪くなります。これは正社員であっても同じで、社会人のマナーです。場合によっては、派遣元が次の契約更新に応じてくれないことも出てくるかもしれません。

繁忙期ではなくても、休暇中に業務の穴埋めが必要なときは、ほかのスタッフが対応してくれることになります。そのことを考え、休暇に入っても大丈夫かどうか確認するように注意しましょう。また、有給休暇を使えないうちに派遣先の契約期間が終了した場合は、1カ月以内に新たな派遣先と契約できれば引き続き使うことができます。ただし、派遣元を変えてしまうと有給休暇自体がなくなってしまうので注意しましょう。そして、もう1点注意しておきたいのは、派遣される前から長期休暇を予定しているときです。この場合は派遣元にその旨を相談して、休暇を取りやすい派遣先で決めるほうがいいかもしれません。

3.派遣社員で長期休暇を取りたいときの流れ

では、ここからは派遣社員が有給休暇を取得する際の一般的な流れについて説明していきます。

3-1.長期休暇の理由を考えておく

有給休暇を申請する際は、まず理由を考えておくようにしましょう。必ず理由が必要ということではありませんが、聞かれる場合があるためです。その際、タイミングによっては派遣先や派遣元の印象を悪くすることがあるので注意しましょう。たとえば、派遣先が繁忙期の場合などです。たとえ自分の業務には支障がなくても、周囲が忙しいときに長期休暇に入るのは反感を買う恐れもあります。一般的に納得しやすい理由を例に挙げると、冠婚葬祭や両親など家族に関わる事情、または引っ越しなどです。

3-2.派遣元会社に相談

有給休暇を取得する際にまず相談するのは派遣元の会社です。このとき、できるだけ早めに申請するのが好ましいので、予定が決まっている場合はその時点で申請しておきましょう。目安としては、1カ月程度の余裕をもって申請しておくのが無難です。ただし、実際には派遣元の会社によって異なるため、どのようなルールになっているか確認しておくことも忘れてはいけません。たとえば「休暇の申請は20日前まで」など明確に決まっている場合、1日でも過ぎれば休暇が取れないこともありえます。

3-3.派遣先にも伝える

派遣元に申請し、有給休暇が取得できたら、次は派遣先に報告をしておきます。まず、派遣されている部署の上司に有給休暇の取得日を報告します。派遣先によっては、人事などが派遣社員の対応をしていることもあります。その場合は、人事または派遣社員を担当してくれているスタッフにも報告をしておくといいでしょう。派遣社員は派遣元の会社と雇用契約を結んでいるため、そこまで必要なのか疑問を持つ人もいるかもしれません。

たしかに、派遣先に直接雇用されているわけではありませんが、突然休暇を取られては現場が混乱します。予定が狂ってしまうなど迷惑をかけることになるので、できるだけ早めに報告をしましょう。普段から信頼関係を築いておくと、休暇を受け入れてもらいやすくなります。派遣先に報告したら、何日に取得するか派遣元の営業担当者に改めて伝えておきます。

3-4.現場の関係者にも長期休暇取得を伝える

次に、一緒に業務を行っている部署のスタッフにも、長期休暇を伝えておきます。派遣先のスタッフの都合も考え、こちらも早めに報告をするようにしましょう。あとは、不在中に迷惑がかからないよう、できる限り自分の業務をこなしておくことが大切です。また、必要がある場合は、ほかの人に引継ぎをしておくと休暇中に派遣先に迷惑をかけることを防げます。

3-5.有給取得を拒否されたら?

有給休暇を申請しても、希望が通らない場合もあります。それは休みを取ってはいけないということではなく、派遣先の事情でどうしてもその日に休まれては困る場合などです。たとえば、同時期にほかのスタッフも休暇を予定している場合や繁忙期などが挙げられます。もしも派遣先に「休暇の日付をずらして欲しい」と言われたら素直に従いましょう。有給休暇を取る権利は法律で認められていますが、企業側には「時季変更権」というものがあるからです。

「時季変更権」とは、正常な業務の運営に支障が出るようなときに、有給休暇をずらしてもらうよう指示できる権利のことをいいます。派遣社員の場合は「時季変更権」を持っているのは派遣元の会社です。派遣先企業が行使することはできないので、もしも指示されたときには派遣元の担当者に相談しましょう。また、なかには有給休暇を認めないブラック企業も存在します。認めてくれない場合は、ほかの日なら可能かどうか確認し、それでも全く応じてくれない場合は注意したほうがいいでしょう。場合によっては労働基準監督署への相談を視野に入れたほうがいいかもしれません。

4.派遣社員が長期休暇を取得するときの注意点

ここからは、派遣社員が有給休暇を取得する際、注意しておきたいことについて解説していきます。

4-1.無断欠勤をしない

長期休暇を言い出しにくい状況であっても、無断欠勤は絶対にいけません。たとえ有給休暇を取りにくい雰囲気であっても、相談もせずに勝手に休んでしまっては、派遣先にも派遣元にも迷惑をかけることになります。派遣元にとって、派遣先企業の信頼を失うことは大きな損失です。また、無断欠勤をするような人を契約更新してくれることはないと思ったほうがいいでしょう。きちんと申請をして有給休暇を取る場合でも、繁忙期などタイミングが悪い場合は、派遣先の態度が変わってしまうこともあるので注意が必要です。

4-2.復帰後はメンバーにお礼すること

たとえ派遣社員であっても、その会社の業務を行っている以上は同じスタッフということに変わりはありません。長期休暇から復帰したときには、周囲のスタッフや上司など派遣先の関係者にお礼を述べておきましょう。事前に準備をして行ったとしても、不在中は何かとフォローしてもらうことは多いからです。復帰した当日に報告をし、その際に一言お礼を添えておけばいいでしょう。できれば、お土産を買っておくなど何らかの気遣いをしておくと、その後も良好な関係を築きやすくなります。派遣先の人数にもよりますが、普段一緒に仕事をしているスタッフだけでも十分です。

4-3.派遣先が変わっても有給はリセットされない

前述したように、派遣社員が雇用契約を結んでいるのは派遣元の会社です。派遣会社が同じである以上、有給休暇のカウントがリセットされることはありません。そのため、有給休暇が残っているのに派遣先との契約期間が終了したり、何らかの事情でほかの派遣先に変わったりすることがあっても、心配をせずに計画的な行動を取るようにしましょう。ただし、派遣会社が変わる場合には有給休暇はリセットされます。有給休暇を残した状態でも、契約更新がされない場合も出てくるかもしれません。そのようなケースも考えて、派遣社員として働くときは有給休暇を上手に消化することが重要なのです。

派遣社員は有休で長期休暇が取れる

この記事では、派遣社員の有給休暇について説明してきました。有給休暇が取得できるケースを紹介してきましたが、派遣社員の場合は給料が出る長期休暇がない場合が多い傾向にあります。そのため、実際には休んだぶんだけ収入が減ってしまうことは少なくありません。派遣元に有給休暇がある場合には、派遣先の状況に応じて上手に有給休暇を使うようにしましょう。