2021.8.24

中卒で就職できる?人気の業界から仕事選びのコツまで解説

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最終学歴が中学校卒業の中卒。高校へ進学しなかった理由はさまざまかと思います。中卒の方々が働くときに気になるのが、「働く場所はあるのか」、「正社員求人はあるのか」という点。ここでは、中卒者の就職の実情やおすすめの仕事などを紹介します。希望する仕事があれば、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

中卒者の就職の現実
中卒者の正社員雇用率は約3.5割

中卒者は、高卒や大卒に比べて正社員雇用率が低い傾向にあります。中卒者の正社員雇用率が35.4%なのに対し、高卒は約56%、大卒だと約80%と大きく開きがあります。逆に考えれば、中卒の35%は正社員として働いているということ。そうした人たちの中から、会社を興して社長になる人も少なくありません。

また、誰もが正社員として働きたいと考えていないことも考慮する必要があります。中には、家庭があるからパートとしてシフト制で働きたい、長時間の勤務が難しいからアルバイトをしているなど、多様な働き方があるのです。割合だけ見ると高卒や大卒と大きく差がありますが、そこに含まれていない人たちの働き方も考えて、自分らしい働き方を考えてみましょう。

中卒可の求人がそもそも少ない

正規雇用率の差が開く要因に、求人の条件があります。一般的な求人では高卒以上を条件としていることが多く、中卒可の求人は高卒以上の求人の1割程度しかない求人媒体もあるのです。つまり、働きたくても条件を満たしていないために働けないという現状があります。
働く能力が同じでも、学歴が壁になって求人に応募できないため、中卒者の中には高卒認定資格を取得し、大学へ進学してから就職活動を始める人もいます。

給与がほかの学歴と比べて低い

中卒者はそもそも正社員求人が少ないことから、パートやアルバイト、派遣といった形態で働くことが多く、給与も低い傾向にあります。厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」によると、中卒者の統計は公表されていませんが、大卒者の給与は男性391,900円、女性288,300、高卒者は男性295,000円、女性218,000円となっていて、大卒者と高卒者の差は7~9万円ほどです。中卒者になると高卒者より低い賃金になることが考えられ、その差もさらに拡大します。

なぜ中卒者向けの求人が少ないのか

1つは、企業の採用担当は、一般常識が不足している人材を避けたいという思いがあるためです。高校へ進学していないため、一般常識や教養がない人が多いのではないかと考えている採用担当が多いと推測できます。2つめは、中卒なのは本人の努力が足りない、計画性がない、継続しようという気持ちが足りないと捉えているケースです。

このような偏見に近い風潮があるために、中卒向けの求人が少ない現状があります。もちろん、一般常識のあるなしや仕事をしようという熱意に、学歴は関係ありません。しかし、企業側としては入社しても成長せずにすぐ辞めてしまうかもしれないリスクをなるべく避けたいという思いがあります。中卒者に対する偏った思い込みと企業を守りたいという気持ちが、就職の間口を狭めているのです。そうした偏見を持たない会社を選ぶ・面接時にしっかりアピールするなど対策が必要です。

出典: 厚生労働省「平成30年若年者雇用実態調査の概況」 厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査・学歴別」

中卒に人気の就職先は?

以下に、中卒者の男性と女性それぞれに人気のある仕事について解説します。就職先を検討する際の参考にしてくださいね。

男性に人気の就職先

体力のある男性には、とび職やドライバーといった仕事が人気です。何かを作ったり、1つのことを極めたりと、プロとして働く楽しみがあるでしょう。また、手に職系だと飲食関係の仕事に就く方もいます。ホールで接客をメインに対応しながら、お店の経営について学んだり、板前として料理人の道を進む方も。

将来的には独立開業を目指しているタイプであれば、働きながら経営や運営を学べる職場を選ぶのも良いでしょう。コミュニケーションが得意な方は、営業職で実績を重ねていくケースもおすすめです。特に実力主義的な会社であれば、頑張った分だけ認められるのでやりがいも感じます。

女性に人気の就職先

ファッションやコスメの販売スタッフ、携帯電話店スタッフなど、自分にとって身近なものに触れる機会の多い仕事を好む傾向にあります。サービス業や接客業は学歴不問の求人も多く、働きやすいのもポイントでしょう。コールセンターも人気の就職先の1つ。特に、こちらから電話をかけてセールスをする架電(アウトバウンド)業務は、コールセンターの中でも給与が高めに設定されています。

コツコツ系の仕事なら、工場のライン作業もあります。工場の仕事はマニュアルが用意されていることも多く、仕事が覚えやすいメリットがあります。シフト制なので、お子さんがいる方にもおすすめです。

中卒者におすすめの就職先10選

ここでは、中卒者におすすめの仕事を10件紹介します。気になる仕事があれば、求人に応募してみましょう。

工場勤務

機械部品や食品など、対応するものが多岐にわたる工場勤務。中には体力勝負な面もありますが、商品への理解や業務の効率化などを武器に、ステップアップできる仕事でもあります。キャリアを積むと、工程やチームを任されることもあるでしょう。そんな時には、マネジメントスキルが必要になります。マネジメントスキルは、幅広い仕事で必要な技術なので、転職を考える際には武器になるでしょう。

また、工場作業は基本的にマニュアル化されているため仕事を始めやすいのも特徴です。会社によっては工場作業員専用の寮や送迎もあるので、一人暮らしをしてみたいという方にもおすすめの仕事場と言えます。同じ工場勤務でも、ラインでの作業ではなく製品の企画や図面の作成といった業務もあります。

公務員

公務員試験に合格すれば、中卒でも高卒でも公務員になれます。懸念点があるとすれば、中卒という学歴では試験を受けられる職種が少ないこと、難易度が高いことがあげられます。学歴に関しては、高卒認定試験をクリアすることで選べる職種の幅が広がります。しかし、試験の難易度は変わりません。合格のためには、受験勉強をする時間を作り、知識を習得する必要があるでしょう。

公務員は安定した仕事ではありますが、その分年齢とともにアップする昇給額もあまり多くありません。給与面を重視して公務員になりたいと言う場合は、ある程度のリスクをともなう仕事に就く必要があります。例えば、自衛官・消防士・警察官などです。デスクワークに比べると危険な場面に遭遇する場合があるかもしれませんが、誰かの命を守るやりがいのある仕事と言えるでしょう。

建設業

中卒の募集では、いわゆるとび職や解体業などの仕事が少なくありません。体力勝負の面があるので、女性よりは男性が多いのが特徴です。技術を身につけていけば、現場を任されることもあるでしょう。また、建設系の資格取得や職業訓練に対して補助が出るケースも多く、働きながら学べる会社もあります。

例えば、測量士やフォークリフト運転技能者などの国家資格を取得できれば、より働ける幅が広がります。管理系の資格が取れれば、現場監督としても働けます。そうしてキャリアを築いていくことで、収入アップも目指せる仕事です。

介護士

人手不足な業界ということもあり、介護士は売り手市場です。勤務実績によって、介護福祉士の資格も取れます。人材不足から、長く働いてもらおうと働く環境が整備された介護施設も増えているため、かつてのような大変さは軽減されているとも言われます。とはいえ、人間を相手にする仕事のためコミュニケーションスキルは磨かなくてはいけません。体力も必要な仕事のため、正しい介護方法を身につけていないと、介助がスムーズにいかず、負担がたまってしまいます。接する相手のことはもちろん、自分自身の体のことも気遣いながら続けていく仕事と言えるでしょう。

販売員

アパレルや携帯電話ショップも人気です。どちらも各社の商品理解が第一に求められる仕事のため、好きな気持ちがあるほど働きやすいと言えます。アパレルならメーカーやブランドの特徴、トレンドなどを押さえておきましょう。携帯電話ショップなら、各端末の特徴や利用者に合わせたメリット・デメリットを知っておくと良いですね。どちらも接客をともなうため、対人スキルを磨くのにもおすすめです。中卒者の場合、卒業後にすぐ働き始める方もいます。そうした方は、他社での経験がない分、自社の商品のことをまっすぐに理解してくれるため、学歴不問なケースが多いのです。

飲食業

飲食業は、基本的にキッチンとホールで業務が分かれています。お店の規模によってはどちらも兼ねている場合もあるでしょう。キッチンでは調理を担当します。調理師や板前などを目指すなら、キッチンに入って食材の扱い方や調理の仕方などを身につけるといいでしょう。ホールは、お客さんからオーダーを取ったり、配膳したりといったことが仕事です。混雑時には効率よくお客さんの対応をする臨機応変さが求められます。マルチタスクになりがちなので、コツコツとした仕事が向いている方は合わないかもしれません。

オペレータースタッフ

電話対応をメインに行うデスクワークのスタッフです。コールセンターもこちらに入ります。体力的には座って電話でやり取りをするだけなので、さほど大変ではありません。注文を受け付けたり、問い合わせに回答したりといったことが主な仕事内容です。しかし、職場によっては架電やクレーム対応といった仕事をするケースもあります。人によっては精神的に参ってしまうこともあるので、自身のメンタル管理にも気を配りましょう。

営業職

中小企業では、学歴不問で営業職を募集していることがあります。営業は、他社や顧客のもとに足を運んで自社製品やサービスを売る仕事です。そうした対面の仕事が本番なら、本番の前には相手の会社のリサーチや訪問のタイミング調整、資料作成などが準備にあたります。営業は華やかなイメージで、会社にとっては業績を伸ばすために欠かせない人員のため、実力でどんどん上に向かっていける職種とも言えます。上昇志向の強い方におすすめです。

運転手(トラック・タクシー)

男性人気の高い職業です。気をつけたいのは、運転に専用の免許が必要なケース。例えばタクシーは、普通免許では運転できません。タクシードライバーは、より厳しい試験となる「普通第二種免許」の取得が絶対条件となります。トラック運転手なら、中型の自動車免許証が必要になります。普通免許を取得してから2年が必要なので、中卒で就職してすぐに運転するのは難しいでしょう。しかし、免許取得までに誰かの補佐に付くなどして仕事を覚えておけば、免許取得後にはスムーズに仕事に入れます。

警備員

工事現場で車や歩行者の誘導をする交通誘導員、建物の巡回警備員など、一口に警備員といってもいろいろな種類があります。規模によりますが、少人数の仕事場になるのであまり人と接するのが得意ではない方に向いています。また、夜間勤務も多い仕事なので、より人との接触は避けられるでしょう。

一方、安全を守るのが仕事のため万が一の事態には率先して対処にあたらなくてはいけません。瞬間的な判断力やきちんとした報告ができる力が必要です。夜間勤務で体調を壊さないよう、日々の心がけも大切になってきます。

中卒の仕事選びのポイントは?
得意・不得意を明確に

仕事を選ぶときには、自分が得意なことや好きなこと、できないことや苦手なことを明確にしましょう。紙やスマホのメモなどに書きだしてみると、客観的に見られるのでおすすめです。このときは、学歴はいったんおいておきましょう。得意なことや好きなことが分からないときは、自分の良いところを周りの人に聞いてみて探してみてくださいね。

そうして書きだした自分の特徴をもとに、募集している求人から仕事を選ぶのです。「コツコツした作業系が好き」、「人と接するのが楽しい」など好きなことが分かれば、おのずと選ぶ職種が絞られます。逆に、不得意なことや苦手なことがメインの仕事を避けるのも1つの手です。

目標や将来のライフスタイルをふまえる

例えば、「将来は子どもを産み、働きながら育てていきたい。でも接客は苦手」だとします。子どもの予定に合わせて働く必要があるので、シフト制なのは外せません。また、代わりの人員が多い職場がいいでしょう。そのうえで接客をともなわない仕事と考えると、工場勤務やデータ入力といった職場が合っていると言えます。

いきなり正社員として働くのは不安という場合は、派遣社員から始めることもできます。特に工場は作業員として働くケースが多いので、外部の人と接する必要がありません。デスクワークの場合は、会社によっては取引先とやり取りする場合もあります。自分のライフスタイルに合った仕事を選びましょう。

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