2021.12.07

派遣と出向の違いとは?目的や労働条件など、さまざまな角度から解説!

記事メイン画像

在籍している企業とは異なる場所で働く勤務形態の「派遣」と「出向」。コロナ禍により、企業は大きな固定費となる人件費を見直しているため、ますます「派遣」「出向」のような柔軟な雇用形態が一般化しそうな状況です。
しかし、「派遣」と「出向」の細かい違いはわかりにくいですよね。今後、働き方を考える際には、この2つの違いはしっかり把握しておきたいもの。そこで今回は、「派遣」と「出向」の特徴や違いについて、詳しくご紹介します。

派遣と出向の大きな違いは?

根本的に異なるのは、労働契約を結んでいる組織です。派遣は、派遣元の派遣会社と労働契約を結び、派遣会社の指示により派遣先の企業で仕事をします。出向は、出向元の企業と労働契約を結び、さらに出向先の企業とも労働契約を結んで仕事をします。
出向には2パターンあり、「在籍出向」は出向元との労働契約を結んだまま、出向先とも労働契約を結びます。あくまで所属は出向元で、グループ企業や子会社への人事異動、というイメージに近いです。「転籍出向」は、出向元との労働契約を解消するパターンです。雇用保険や社会保険なども新たに出向先の会社で加入することになります。実質的な転職と言っても良いでしょう。

派遣と出向の目的の違い

派遣と出向では、その目的が異なります。

●派遣の目的

派遣先の企業にとって、派遣社員を活用する大きなメリットは、スピーディーに求める人材を確保できることです。求人広告や採用担当者の人件費など採用コストを抑えることもできます。派遣期間を決めることができるので、必要な時期に応じて柔軟に活用できる点もメリットです。
また、正社員登用を見越した「紹介予定派遣」を活用し、採用のミスマッチを防ぐ目的もあります。

●出向の目的

出向元の企業にとって、社員を出向させることは、さまざまな経験を積ませることができて人材育成に繋がります。また、企業同士の交流を深めることで、新たな視点を取り入れたり、必要なスキルを持つ人材を融通し合うこともできます。
一方で、出向は雇用調整の意味合いが含まれることも多いです。社員のリストラを回避するためだったり、余剰人員を人が足りない子会社に送り込んだりすることもあります。転籍出向の場合は、コスト削減を目的として行われることもあります。

派遣と出向の労働条件の違い

派遣と出向で異なる労働条件の特徴について解説します。

●雇用期間の違い

派遣社員は最短で1ヶ月、長期だと3ヶ月〜1年以上の雇用期間となります。ただし、同じ派遣社員を同じ組織内で3年以上働かせることは原則禁止されています。そのため、最長でも3年となります。
出向の場合、法律上は期間の定めはなく、企業により出向のルールは異なります。3〜6ヶ月程度の場合もありますし、数年間の場合もあります。10年以上も珍しくありません。また、転籍出向の場合は、退職まで出向先で雇用されることが多いです。

●労働時間の違い

派遣社員は、派遣元と派遣先の間で交わされる「労働者派遣契約」で定められた労働時間で働きます。さまざまな理由で労働時間が変更になった際は、契約を変更します。
出向の場合は、基本的には出向元と同じ労働時間が定められていることが多いです。しかし、出向先のルールがあれば、それに従うこととなります。

派遣と出向の失職理由の違い

派遣でも出向でも怖いのは、働き続けたいのに職を失うことです。どのような理由で職を失うことになるのか、その違いを理解しておきましょう。

●派遣社員が職を失う理由

いわゆる「派遣切り」の理由として最も多いのが、派遣先の事情です。経営状態が悪化したり、派遣社員に任せていた仕事がなくなったりすると、契約が終了する恐れがあります。
また、派遣社員側に理由がある場合もあります。欠勤や遅刻が多かったり、人間関係でトラブルを起こしたり、派遣先が求めるスキルに達していなかったりすると、契約終了を告げられることがあります。

●出向社員が職を失う理由

基本的に、実際に勤務している出向先の判断で、出向社員を解雇したり失職させたりすることはできません。派遣社員のように、出向先の経営悪化などの理由で失職することはないので、雇用は安定していると言えます。何らかの理由で出向先で働き続けることが難しくなった場合は、出向元の判断に委ねます。
そのため、出向元の会社の規則に則った解雇自由に該当する場合は、失職する恐れがあります。

コロナ禍が派遣と出向に与える影響は?

新型コロナウイルス感染拡大は、企業経営に大きな影響を与え、企業の雇用に関する考え方が大きく変わりました。コロナ禍が派遣と出向に与えた影響について解説します。

●派遣に与えた影響

コロナ禍により、経営に大打撃を受けた企業を中心に「派遣切り」が起こり、失職した派遣社員が増加しました。厚生労働省は、派遣労働者の雇用維持に配慮して欲しいと呼びかけました(※1)が、これはそれだけ雇用を失った派遣社員が多いという証明でもあります。
派遣切りは、派遣社員でいる限り可能性をゼロにすることはできません。派遣切りを避けるためには、やはり正社員の職を得ることが必要です。派遣先の企業に直接雇用されることを前提とした「紹介予定派遣」で正社員を目指すことも、ひとつの方法です。

(※1):厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等に対するご配慮について」https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/riyousha_mokuteki_menu/mokuteki_naiyou/haken_part/0414.html

●出向に与えた影響

大企業もコロナ禍の影響を逃れることはできません。そのため、余剰人員が生まれやすい規模の大きな親会社から、慢性的な人材不足にあえぐ中小企業の子会社に出向させる動きが増加しています。子会社や関連会社への出向により、雇用を守ることができます。 厚生労働省は、雇用維持を目的とした在籍出向の取組を支援しています(※2)。

(※2):厚生労働省「在籍型出向支援」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page06_00001.html

まとめ

わかりにくい「派遣」と「出向」の違いですが、所属している企業が派遣会社か出向元かの違いにより、労働条件などに違いがあります。改めて確認すると、やはり派遣社員は不安定で、所属企業の正社員である出向は安定していますよね。
派遣社員から正社員を目指したい人は、派遣会社は紹介予定派遣の求人も扱っているので、派遣会社に相談してみましょう。希望に合う紹介予定派遣の求人がない場合は、アウトソーシングの「公式LINE」で、条件に合う仕事を探してみてください。あなたの希望に合うお仕事がきっと見つかるはずです!