2020.3.25

派遣社員は職務経歴書をどう書けばよいの?注意点とともに紹介

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転職活動で履歴書とともに採用されるかどうかを左右するものが「職務経歴書」です。しかし、職務経歴書の正しい書き方やポイントを理解している人は案外少ないかもしれません。また、企業は選考の際に参考にできる実践的な経験の内容を必要とする傾向があり、正社員の職務経歴だけよりも、派遣社員の職歴を書いておくほうがいいとされています。そこで、今回は派遣社員の職務経歴書の書き方や注意点について詳しく紹介します。

1.職務経歴書と履歴書のちがい

職務経歴書と履歴書は、一見すると対象となる人物の詳細を知るための書類として似たようなものに見えるかもしれません。実際に職務経歴書と履歴書の中身には重複するところもあります。しかし、実は職務経歴書と履歴書では役割と目的が異なるため、それがわかっていれば効果的に自分をアピールできる書き方をすることが可能です。そこで、この段落では、まず職務経歴書と履歴書の違いについて詳しく紹介します。

1-1.職務経歴書

職務経歴書は自分がこれまで積み上げてきたキャリアを、わかりやすく企業や人事担当者に伝えるためのものです。そのため、単にどんな企業のどの部署で働いたかということだけではなく、どのような仕事に取り組み、どのような実績を上げてきたのかという具体的な内容を記載する必要があります。また、得意分野はなんなのか、どのようなスキルがあるのかなど、自分の持っている能力も記載してアピールすることができる書類です。そもそも、職務経歴書は採用に有利に働くよう、企業や人事に売り込む役割や目的を持っています。いわば自分をプレゼンするための要になるツールとも言えるものですから、しっかりとスキルやキャリアを盛り込むことが大切です。

1-2.履歴書

職務経歴書が自分の詳しい仕事での実績やスキルなどを記載する書類であるのと比べて、履歴書は年齢や学歴および職歴、資格などの基本的な情報を確認することが目的の書類です。趣味・特技や志望動機の欄など、多少は自分や自分の考えをアピールできる箇所もあります。ただ、履歴書は基本のプロフィールを確認できればいい書類であり、詳しく自分をアピールするために書く部分はあまり多くありません。そのため、履歴書を記載するときは丁寧に書かなければならないのはもちろんですが、端的な表現でわかりやすいものであることがポイントです。ちなみに、学歴といっても小学校や中学校から書く必要はなく、通常は高校や専門学校からが一般的です。

2.職務経歴書の書き方

履歴書は定型のものが売られているように、ある程度決まった形式の書類に書き込むことが普通です。しかし、職務経歴書は履歴書とは異なり、特に決まった形式がありません。ある程度自由に書いてかまわないため、それがかえって記入するのが難しく、迷う原因になっているのではないでしょうか。そこで、この段落では職務経歴書の主な記入形式について「編年体式」「逆編年体式」「キャリア式」の3つにわけて詳しく紹介します。

2-1.編年体式

編年体式は、過去から現在までの職歴を古い順から時系列に表記していく方法で、職務経歴書のなかでも最もオーソドックスな形式です。シンプルだからこそ経歴を一目で把握でき、キャリアを積んだ流れも読み取りやすいことが特徴です。経歴が時系列でわかると、転職の志望動機も伝わりやすいことがあります。また、職務経歴書とともに提出する履歴書も普通古い順に職歴を書くため、一緒にチェックするときは見比べやすいでしょう。以上のメリットから、社会人になって年数が浅い人や転職経験が少ない人、同じ職種に就くなかでキャリアを積んできた人に向いている形式だと言えます。

ただし、編年体式は流れがわかりやすい一方、内容にメリハリをつけにくいところが欠点のひとつです。特にキャリアが長い人や転職した回数が多い人の場合は強調して伝えたいポイントが埋もれてしまいやすい欠点もあります。強調したい内容を読み手にわかりやすくするためには、表を挿入したり、見出しを太字にしたりなど、レイアウトの工夫も必要です。

2-2.逆編年体式

逆編年体式は、編年体式の頭に「逆」と付いているように、職歴を新しいほうから古いほうに遡って記載する方法です。編年体式を用いて時系列で職歴を書いていくと、直近のキャリアは最後になってしまいます。転職回数が多い人の場合は、職歴の最後の部分にたどり着くまでが長くなり、多くの情報の中に直近のキャリアや、キャリアの最後のほうで取得した資格・スキルなどが埋没してしまう可能性があります。

つまり、直近のキャリアをアピールしたいときには、時系列で記載する編年体式よりも、新しいキャリアが最初にくる逆編年体式のほうが有効的なのです。アピールしたい部分が直近のキャリアだとはっきりしているのならば、逆編年体式を用いて直近のキャリアについて最初に詳しく記載し、そのほかの部分については簡単に概略を触れるだけでもかまいません。メリハリをつけてアピールしたい部分を強調する書き方を心がけましょう。

2-3.キャリア式

キャリア式の職務経歴書は、編年体式や逆編年体式とは違い、職歴や業務内容を時系列で記載しません。業務の分野や内容ごとに職歴をまとめるため、その人がどんなスキルや経験を持っているかが一目でわかるメリットがあります。特に転職回数が多い人にとっては、応募の対象となっている職種を効率よくまとめることができるのでおすすめです。また、職歴にブランクがある場合は目立ちにくいメリットもあるものの、時系列ではないため読み手に時間の経過が伝わりにくいところはデメリットだと言えます。キャリア式の職務経歴書を書くときでも時間経過を把握できるようにするには、簡単な編年体式の経歴も添えておくといいでしょう。

3.派遣社員のアピールポイント

正社員として働くことがいいとされていた時代とは違い、職種経験をアピールするときは正社員としての職歴よりも、派遣社員としての職歴の価値が高いとして評価されることが多くなっています。そこで、派遣社員としての職歴をアピールする場合、どのようなポイントに注意して職務経歴書を書けばいいのか詳しく解説します。

3-1.業務スキル

派遣社員を自社に欲しいと考えている企業では、まず任せる予定の仕事をしっかりこなせるスキルや経験を持っているかどうかを重視しています。特に人手が足りていない職場では、すぐにでも安心して仕事を任せられる即戦力を求めていることが珍しくありません。そのため、採用されれば担当することになる業務のオペレーションに関して、専門的な知識を持っていることや作業のスキルがあることをアピールしましょう。たとえば、WordやExcel、PowerPointなどのPCスキル、使ったことのあるソフトや業務システムなどです。

応募の職種や関連企業にまつわる知識を持っている、実際に関わった経験があるなど、その業界に明るいこともアピールになります。これまでの業務経験のなかで人材を応募している企業や関連の業界、職種などに接点があれば、職務経歴書に盛り込んでおくと人事担当者の目にも留まりやすいでしょう。

3-2.新しい環境での順応性

人によっては、新しい環境に入ったとき、なかなか馴染めないことがあるかもしれません。また、企業や職場によって、仕事の進め方や慣習などが異なることもあります。新しい職場では、それまで培ってきた業務の進め方や考え方に対するこだわりを捨てなければならない場合もあるでしょう。

一方で、派遣社員として複数の派遣先で働いたことがある人ならではの、新しい環境で素早く順応しつつ仕事ができる点はぜひともアピールしたいところです。特に、大手企業からベンチャー企業まで、どのような環境でも馴染んで働けた経験があれば、新しい環境でも難なく順応できるアピールになります。良好な人間関係を構築するためのコミュニケーション術や、新しい環境に順応して業務をこなすために意識しているポイントがあれば、合わせてアピールすると評価につながりやすいです。

3-3.多様な業界・企業で経験

派遣社員としてアピールするポイントは、応募する企業や業務にかかわることだけとは限りません。たとえ密接に関連していなくても、それまで派遣社員としてさまざまな職場で働き、経験を積んで得た業界知識は必ずどこかで生かせる場面があるはずです。多種多様な業界知識や業務経験を持っていることは強みになり、特にあまり経験している人が少ない内容ならユニークなアピールポイントになります。実際に業務をこなす際に工夫していたことや心がけていたことなどがあれば、うまく話に入れるとなおいいでしょう。

4.派遣社員の職務経歴書の注意点

職務経歴書は、応募者の経験やスキルのチェックをするための書類であることは間違いありませんが、作成するときに情報を適切に開示できていないと意味がありません。この段落では、職務経歴書に派遣社員としての経験を正しく開示するための注意点について詳しく説明します。

4-1.派遣元・派遣先両方記入

派遣社員として働く場合、派遣先企業がどこかということに加え、派遣元の企業名も明記することが必要です。派遣先でどのような業務を担当していたのかという内容はもちろん大切ですが、派遣社員は派遣先の企業に雇われているわけではありません。あくまでも雇用主は派遣元企業であって、派遣先は就業先に過ぎないのです。まれに派遣先企業名だけを記入する人もいますが、派遣先だけを記載して直接派遣先に雇用されていたような誤解を与えてしまうと、職務経歴の虚偽にあたる可能性があります。あらぬ誤解を与えないためにも、派遣元と派遣先の両方を記入するようにしましょう。

4-2.守秘義務の制限を確認

機密情報や外部にはあまり公開したくない内容を扱っている企業の場合、情報の管理が厳しいところも珍しくありません。特に官公庁やIT企業などには、どのような業務をさせているのかを外部に知られたくないケースが多いのです。そのような派遣先企業では、派遣開始前や派遣終了後に守秘義務を交わすところもあります。守秘義務が交わされている派遣先での業務に関しては、某食品メーカー、某IT企業などのように詳しい企業名や拠点名は表記せず、公開できる範囲内で職種や業種がわかるような明記の仕方をすることになります。固有名詞を避けて職務経歴書を作成することで、機密情報などを適切に管理できる情報リテラシーを有している人材としてアピールすることが可能です。

企業の求めることを理解して魅力的な職務経歴書を書こう!

派遣社員の職務経歴書の書き方について、この記事は参考になったでしょうか。職務経歴書は自分の経験やスキルをアピールすることができる書類であるとともに、企業や人事担当者がどう見ているのかも考えて書かなければなりません。企業が求めている点と、自分のアピールポイントの両方を把握しておき、いいバランスで含んでいるものに仕上げる必要があります。どちらも意識しながら魅力的な職務経歴書を書くようにしましょう。