2020.4.6

無期雇用派遣とはなに?無期雇用派遣に切り替えるための条件とは

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働き方が多様化している現代、正社員ではなく派遣社員や契約社員という労働形態を選ぶ人も少なくありません。派遣社員にもいくつかの種類があるのですが、無期雇用派遣というものがあります。この記事では無期雇用派遣とは何なのか、メリットやデメリット、無期雇用派遣に切り替えるための条件などについて詳しく解説していきます。

1.無期雇用派遣は、登録型派遣や正社員と何が違う?

派遣社員は大きく2種類に分けられます。それが「無期雇用派遣」と「登録型派遣」です。無期雇用派遣とは、いわゆる常用型派遣のことを指します。正式名称は常用型派遣なのですが無期雇用派遣と呼ばれることが多いため、この記事では無期雇用派遣として解説します。無期雇用派遣とは、その名の通り期限を定めずに雇用される形になります。派遣会社とスタッフ間で期限を定めない雇用契約が結ばれるため、選考採用を受けるのが一般的です。派遣会社の選考に応募して、採用されたら雇用契約が結ばれます。派遣先での就業が終了した場合でも、派遣会社との雇用契約が継続されることも無期雇用派遣の特徴です。

一方、登録型派遣とは、派遣先で就業しているときのみ派遣会社に雇用されるスタイルの派遣となっています。登録型派遣の場合には採用選考はありません。基本的には派遣会社に登録して、派遣先企業を紹介してもらうことになるのです。派遣先での就業が終了すれば雇用契約も終了するので、次の派遣先が見つかるまで給料は発生しません。そのため、派遣先がなかなか見つからない場合には、生活が厳しくなるケースもあります。ただし、勤務時間を比較的自由に選べる、残業の有無を選択できる、転勤がないなどのメリットもあります。自由な働き方ができるため、自分のライフスタイルに合わせて働きたい人にはいいでしょう。

無期雇用派遣は、派遣会社と無期限の雇用契約を結びます。そのため、派遣元の正社員だと勘違いする人も多いのですが、これは違います。雇用契約なので、正社員に近い働き方ではありますが、あくまでも無期の契約を結んでいるだけであって正社員ではありません。そのため、契約解除される可能性もあります。

無期雇用派遣の宣伝で、派遣先の正社員として働けると誤解させるようなものもあります。しかし、派遣社員は派遣会社と契約を結ぶものです。就業している会社と雇用契約を結ぶことはないので、就業しているからといって正社員になれるわけではありません。ただし、正社員としての契約を前提としている紹介予定派遣を利用すれば、派遣先の正社員になれる可能性があります。また、派遣先から正社員登用の打診があるケースもあるので、派遣社員から正社員になれないわけではありません。

2.無期雇用型派遣のメリット・デメリット

無期雇用派遣には、メリットもあればデメリットもあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

2-1.メリット

無期雇用派遣のメリットとして大きいのは、収入が途切れないことでしょう。無期雇用派遣は、派遣会社とのあいだで期間を定めない契約を結ぶことになります。そのため、派遣先の会社が見つかっていない段階でも給料が支払われるのです。登録型派遣の場合には、就業している期間だけの契約なので、就業していない期間は給料が支払われません。そのため、収入が途切れる可能性があり不安定なのです。一方、無期雇用派遣は派遣先の会社を探している期間も派遣会社から給料が支払われるので、生活に困る心配がないでしょう。派遣でありながら比較的安定した環境で働けるので、収入面でも精神面でもメリットが大きいのです。

長期間同じ派遣先で働けるのもメリットになります。一般的な派遣の場合には、同一の組織で3年以上勤務することはできないという決まりがあります。そのため、登録型派遣の場合には、どれだけ長くても3年経ったら派遣先を変えなければいけません。しかし、無期雇用派遣の場合は違います。3年以上勤務不可という制限は無期雇用派遣には適用されないため、長期間同じ派遣先で働き続けることができるのです。長期間同じ仕事ができるので、スキルアップがしやすくなります。3年で必ずキャリアが途絶える登録型派遣とは違い、長期間経験を積むことができるので、今後のキャリアアップにも役立つでしょう。

登録型派遣では時給制が一般的ですが、無期雇用派遣の場合には月給制となっています。そのため、月の給料が安定します。時給制の場合には、働く時間や日数に給料が左右されます。たとえば、ゴールデンウイークやお盆休みなどの働く日数が少ない月はどうしても給料が少なくなります。その点、無期雇用派遣なら月給制ですから祝日などに左右されません。毎月一定の給料が支払われるので、安定した生活基盤を手に入れることができます。

無期雇用派遣は、正社員と同様に昇給や賞与があることが一般的です。派遣先の企業で働きが認められれば、昇給する可能性があります。勤務実態などを派遣会社が調査して評価が行われるので、真面目に働いて実績を積むことが重要でしょう。賞与は、派遣会社の業績によって発生するかどうかが異なります。派遣会社によっては賞与が出ないケースもあるので、派遣会社を選ぶ際にはチェックしておくといいでしょう。自分の働きが昇給や賞与などにつながるので、やりがいを得られやすいのもメリットです。

また、交通費も支給されます。登録型派遣では、交通費は自己負担になることが多いので、電車やバス、車などを使う場合にはどうしても交通費がかさんでしまいます。無期雇用派遣なら交通費が支給されるため、余計な出費を減らせることはメリットになります。研修が受けられるのもうれしいポイントです。無期雇用派遣では「キャリア形成支援制度」を設けなければならないと法律で定められています。そのため、一定期間の研修を受けられたり、キャリア形成のためのアドバイスなどが受けられたりします。さまざまな研修が用意されている派遣会社も多いですから、新しいスキルを獲得できる、スキルアップしやすいというメリットがあるでしょう。

雇用が保証されているのもメリットです。無期雇用派遣の場合には、待機期間でも給料が支払われます。しかし、そのあいだは派遣会社には利益が入りません。派遣社員が派遣先で就業しなければ利益が出ないので、派遣先の会社を常に用意してくれることが多いのです。就業先での仕事が終わったとしても、すぐに新しい働き先を紹介してもらえる可能性が高いでしょう。

2-2.デメリット

デメリットとしては、自由度が低いことが挙げられます。基本的に、無期雇用派遣の場合には派遣先企業を自分で選ぶことはできません。また、派遣社員特有の自由な働き方は難しくなるでしょう。一般的な登録型派遣だと、契約が切れたときにしばらく仕事を休んでから次に向けて動き出せますし、自分のスキルに合った職種や企業を選ぶこともできます。しかし、無期雇用派遣は常時派遣会社に雇用されているスタイルなので、長期間仕事をしないという選択肢はありません。働かないスタッフの給料を払い続けることは派遣会社にとっては不利益でしかないので、派遣先との契約が終わったらすぐに次の仕事が紹介されるでしょう。安定はしていますが、自由度の低い働き方です。

採用に落ちるケースがあることもデメリットでしょう。無期雇用派遣になるためには、一般的に採用選考を突破する必要があります。登録型派遣のように、自分の情報を登録して終わりというものではないので、選考を通過するための対策を練らなければいけません。書類選考や面接というように、一般的な採用選考の手順を踏むことになるので、しっかりと準備しなければ採用に落ちることもあります。

無期雇用派遣では、同一の会社で3年以上の就業不可という縛りはありません。しかし、長期間同じ会社で働けるわけではないので注意が必要です。派遣先の都合によっては、契約更新してもらえないこともあるでしょう。そのため、派遣先が頻繁に変わってしまう場合もありえます。

3.無期雇用派遣に切り替えられる条件

無期雇用派遣に切り替えるためには、3つの条件を満たす必要があります。まずは「有期雇用契約期間が通算で5年を超えている」ことです。有期雇用契約とは、一般的な派遣、つまり登録型派遣のことです。同じ派遣会社で5年以上派遣社員として働き続けていなければいけません。次は「契約更新を1回以上している」ことです。派遣会社との契約を1回以上更新していれば条件を満たすことができます。それから「現時点で同一の派遣会社と契約している」ことです。つまり、上記2つの条件を満たしていたとしても、今現在違う派遣会社と契約をしていたら無期雇用派遣には切り替えられません。

4.無期雇用派遣に切り替えられる条件がそろった場合

無期雇用派遣に切り替えられる条件がそろった場合、派遣会社に申し込めば、登録型派遣から無期雇用派遣に切り替えることが可能です。条件を満たした派遣社員から申し込みがあった場合、派遣会社は断ることができないと定められています。そのため、無期雇用派遣で働きたいと思っているのなら、条件を満たしたタイミングで申し込めばいいでしょう。ただし、無期雇用派遣に切り替えられるのは登録型派遣の契約期間が終わってからです。たとえば、3年ごとの契約で1回更新したとしましょう。契約期間中に条件である5年を超えますが、契約が満了するまでは転換できません。

一方、登録型派遣として働き続ける選択肢もあります。登録型派遣は、無期雇用派遣よりも不安定ではありますが、自由度の高い働き方です。そのため、家庭の事情で働く日数や時間が限られている、自由に働きたいという場合には、登録型派遣のまま働くのもいいでしょう。また、正社員を目指す道もあります。派遣のなかには正社員雇用が前提の紹介予定派遣などもありますし、派遣で培ったスキルを武器に正社員採用試験を受けるのもひとつの方法です。派遣よりも安定しているので、安定した生活をしたいのなら正社員を目指してみてはどうでしょうか。派遣の仕事を辞めようと思うなら、フリーランスやアルバイトとして働くのも選択肢のひとつです。フリーランスは派遣や正社員よりも稼げる可能性もあるため、スキルに自信があるのならいいでしょう。

無期雇用派遣は安定している!条件を満たしたら検討してみよう

無期雇用派遣は派遣であっても、安定した働き方ができます。待機期間でも給料が支払われますし、派遣先がすぐに見つかりやすいのもメリットです。ただし、派遣のなかでは自由度の低い働き方となっています。また、無期雇用派遣に転換するためには条件があるので、自分が満たしているかどうかのチェックも必要です。安定した環境で働きたいのなら、無期雇用派遣を検討してみてはどうでしょうか。

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