2020.4.20

派遣先と契約終了になる理由は?告知はいつまでにされるの?

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派遣スタッフとして働いている場合は、3カ月程度での契約更新が一般的です。しかし、終身雇用ではないので、契約が終了になることがあります。契約終了の告知はいつまでにされるのでしょうか。また、契約終了となる理由が気になる方もいるでしょう。そこで、派遣先と契約終了になる理由と告知のタイミングについて説明します。

1.派遣の契約が終了になる理由は?

派遣は雇用形態の1つで、一定の契約期間に基づいて就業します。企業が求める期間だけ働くことから、派遣される期間には制限があるのが特徴です。ただ、派遣の契約はどういった理由で、どんなときに終了となるのでしょうか。ここからは、派遣の契約が終了になる理由を説明します。

1-1.契約満了と契約終了

派遣の契約が終了する理由は、大きく分けると2つあります。1つ目は、契約満了となったときです。派遣には契約期間というものがあり、あらかじめ定められた期間だけその会社で働きます。派遣期間が4月1日~6月30日という契約の場合には、6月30日に契約満了を迎えるのです。契約期間が満了し、契約が更新されない場合には契約が終了してしまいます。もう1つは、契約期間中に契約が解除された場合です。派遣では、契約満了まで働くのが基本とされています。ただ、何らかの事情がある場合には契約期間中でも契約解除となるケースがあるので注意が必要です。

1-2.契約終了(解除)となる理由は?

契約期間中に契約終了や契約解除となってしまう理由は、派遣スタッフ自身に問題があることが挙げられます。遅刻や欠勤が多く、勤務態度が悪いと判断された場合には、契約期間中でも契約が解除されるでしょう。また、派遣スタッフに企業が求めるだけのスキルがない場合にも、契約終了となることがあります。ほかにも、派遣先でセクハラ行為をするといった企業に迷惑がかかることをしたケースでは、契約の解除は避けられません。営業妨害をした場合も処分されて当然と考えられ、情報漏えいといった会社にとって重大なミスなどを起こしたときも契約は終了します。

ですから、法に触れるようなことや社会人として基本的なマナーやルールが守れなかった場合には、契約が終了されてしまうと考えましょう。それだけでなく、派遣先の人件費を削減するために契約を終了してくるケースもみられます。派遣社員を雇ったときには業績がよかった会社でも、何らかの理由で状況が一変してしまうことは珍しくありません。そういったときには人件費を抑える必要があるでしょう。派遣社員は正社員とは異なり、決められた期間だけその企業で働く人材です。解雇しやすい人材として考えられていることから、契約が解除されてしまうことが少なくありません。

2.契約終了はいつ告知されるの?

「明日で契約を終了します」などの突然の告知だと、途方に暮れてしまうのではないかと考える方もいるでしょう。しかし、契約終了の告知は30日前には行われます。これは法律でも義務付けられていることであり、派遣先は契約期間が満了する30日前までに契約更新をしないことを予告しなければなりません。ただ、2015年9月30日に改正労働者派遣法が施行され、派遣スタッフは同じ会社で3年以上の勤務ができなくなりました。これは、3カ月ごとに契約更新を続けると、上限3年まで働けるということです。

それでも、3年を過ぎると直接雇用とならない限り、その会社では働けません。ですから、3年が近づくと契約終了になることをあらかじめ知っておくのがいいでしょう。また、派遣先が派遣会社に契約について相談するのは非常に稀なケースです。契約終了の場合でも、派遣会社に相談することなく告知されます。派遣会社が派遣先から契約終了の知らせを受けると、派遣スタッフにその旨が伝えられる流れです。派遣先から派遣スタッフに契約終了が告知されることはないでしょう。

3.次の就業先はいつから探せる?

派遣の契約終了が告知されたときには次の仕事を探す必要がありますが、次の就業先探しはいつから始めても問題はありません。できるだけ早く次の仕事が決まると空白期間ができないため、安心感も高まるでしょう。そのためには、早めに行動を開始することが大切です。ただし、自己都合で契約を終了した場合と会社都合での契約終了では、失業保険の給付開始日や給付日数が異なるので注意しましょう。会社都合で契約終了となれば7日間の待機期間があり、手続きを行ってから約1カ月後に失業保険が振り込まれます。自己都合の場合、7日間の待機期間は同じですが、3カ月の給付制限が設けられ、口座に給付金が振り込まれるまでに4カ月程度かかるのです。

ただし、派遣スタッフの場合は、契約終了後の1カ月間を派遣会社が仕事を見つける期間と定められています。言い換えると、派遣スタッフは契約終了から1カ月間は失業保険の手続きができません。もし、契約終了から1カ月以内にハローワークで受給の手続きを行った場合には、自己都合による退社とみなされてしまいます。その結果、3カ月の給付制限が発生するので注意が必要です。

4.失業保険は受け取れる?

失業保険について軽く説明しましたが、派遣スタッフとして働いて契約終了となってしまった場合でも、失業保険がもらえるのでしょうか。契約終了となってしまったときに失業保険が受け取れないと、生活が苦しくなると考える方もいるでしょう。ここからは、派遣スタッフでも失業保険が受け取れるのかどうかについて説明します。

4-1.失業保険を受け取れる条件

失業保険を受け取るには、雇用保険に加入している必要があります。雇用保険とは、労働者が働けなくなったときのために設けられている制度です。企業は一定の基準を満たす場合に雇用保険への加入を義務付けられています。この雇用保険に加入する一定の基準となるのが、1週間の所定労働時間が20時間以上あることです。さらに、31日以上の継続した雇用が見込まれる場合にも雇用保険への加入が義務付けられます。1週間の労働時間が20時間以上というのは、雇用形態によって区別されません。正社員だけでなく、派遣スタッフやパート、アルバイトでも同じだと考えましょう。

31日以上の雇用の見込みがあるという点には注意が必要ですが、よほどの短期契約でない限り、派遣スタッフにも該当します。ただ、失業保険を受給する際は、退職理由が重要なポイントです。会社の経営が悪化したことによるリストラなどの場合には、会社都合での退職となります。このケースでは、離職する前の過去1年間のうち、雇用保険に加入していた期間が6カ月以上必要です。一方、結婚や家族の介護といった自己都合で退職したケースでは、過去2年間のうち、12カ月以上雇用保険に加入していた期間があると失業保険が給付されます。過去2年間のうちの12カ月というのは、同じ派遣先で働いて期間だけがカウントされるのではありません。

派遣スタッフの場合は雇用主が派遣会社です。したがって、途中で派遣先が変わった場合でも雇用保険の加入期間は通算されますので、失業保険が受け取れるチャンスが高まるでしょう。

4-2.ハローワークへいく

失業保険の手続きは、ハローワークで行います。契約終了となり、仕事がなくなった場合でも、自分で手続きをしないことには失業保険が受け取れません。また、申請にはいくつかの書類が必要ですので、あらかじめ準備しておくとスムーズに申請ができるでしょう。申請には、雇用保険被保険者証の提出が求められます。また、派遣会社はハローワークに離職証明書を提出しなくてはなりません。離職証明書は離職前に本人による記名押印または自筆による署名が求められます。雇用保険被保険者証と離職証明書については、在職中に派遣会社に確認しておくのがいいでしょう。このとき、離職証明書に記載される離職理由についてもはっきりさせておくと安心です。

契約終了となり離職すると、ほとんどの場合で雇用保険被保険者離職票が手元に届きます。それを持ってハローワークへ行き、手続きを行いましょう。このとき、運転免許証などの本人確認書類が必要です。また、マイナンバーカードなどの個人番号がわかる書類の提出も求められますので忘れずに持参します。さらに、失業保険の振込先となる本人名義の普通預金通帳と印鑑も持っていきましょう。それに加えて、3カ月以内に撮影した写真も2枚準備しておきます。写真は正面上半身を撮影したもので、縦3cm×横2.5cmの大きさです。

5.契約更新を断る場合はどうしたらいい?

契約期間が満了となると、契約終了となるだけでなく契約更新が告げられることもあります。ただ、契約の更新を希望せず、派遣先での仕事を辞めたいと考える方もいるでしょう。そういった場合には、自己都合で契約が終了できます。このとき、自分の都合だけで辞めると、引き止められるのではないかと不安になることもあるでしょう。派遣先からの契約更新は断ってはいけないと考える方もいます。しかし、派遣の契約は、本人と派遣会社の合意によって結ばれているものです。本人に契約更新の意思がない場合には、新たな契約を結ぶ必要はありません。

ただし、契約終了の直前に契約を更新しない旨を伝えると、トラブルになってしまう可能性もあるでしょう。そのため、契約終了の1カ月前までには伝えておきます。また、契約更新を断る理由は、派遣会社が納得できる理由であることも大切です。例えば、正社員での仕事が決まったという理由であれば、トラブルが起こることがないでしょう。転居や結婚・親の介護といった家庭の事情は、やむを得ないと判断してもらいやすいといえます。契約を更新せずに退職を希望した場合でも、契約期間は全うし、契約終了までしっかりと働くことが大切です。契約を更新しないからといって仕事をおろそかにせず、契約終了の日まで精いっぱい仕事をすると気持ちよく退職できるでしょう。

派遣だからって不安はない!契約終了となっても慌てずに手続きを

派遣の仕事は派遣先の会社都合で契約が終了することがあります。その場合でも、30日前には告知されるため、余裕を持って次の仕事が探せるでしょう。また、一定の基準を満たす場合には失業保険が受け取れます。もし、自己理由で契約を更新しない場合でも、あらかじめ伝えておくことでトラブルなく退職が可能です。派遣は雇用形態の1つなので、契約終了となってもそれほどの不安はないでしょう。