2020.10.05

電子機器の実装を支えるプロの証!はんだ付けの資格ってどんなもの?

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はじめに

携帯電話が初めて世に出たときは、ショルダーバックような大きさでした。手のひらサイズの今では考えられませんね。この電子機器の小型化は「はんだ付け」職人の長年の知恵と経験が支えているんです。今回は、そんな「はんだ付け」の資格についてご紹介します。

はんだ付けの資格ってどんなものがあるの?

はんだ付けに関わる資格として、以下の3つの資格があげられます。初級者や趣味でもチャレンジできるものから、生産現場全体を管理するためのものまで、いろいろなコースが用意されています。目指したいキャリアの方向性を見て選ぶといいでしょう。

  • はんだ付け検定
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はんだ付けの技術を学ぶ機会を一般に広げる目的で、NPO法人「日本はんだ付け協会」が作った民間検定です。
試験は1級から3級までの3段階あります。受検に対して条件はなく、未経験者でも受検が可能です。2級と3級は初級レベルです。3級ははんだ付けを趣味とする人に向けたもので、「共晶はんだ」のみをあつかいます。2級は電子機器などの製造業で働く人に向けたもので「鉛フリーはんだ」が加わります。1級になると難易度が高くなり、超小型の表面実装に対応した試験になっています。
はんだ付け検定の資格には期限があります。3年を経過すると、資格を喪失してしまいます。技術の進化にあわせ、3年ごとに新しい技術を学んでおく必要があるからです。

電子機器組立て技能士

電子機器の組み立てや修理に必要な技能検定です。はんだ付けに関わる資格の中で唯一の厚生労働省が定めた技能検定です。プリント基板でのチップ取り付けや配線引き回しの際に役立ちます。組み立てだけでなく、電子回路の基礎や設計、半導体材料に関する知識も得られます。検定試験は、特級と1級、2級、3級の4段階があります。
電子機器組み立て技能士は、2級以上では実務経験が必要になります。3級は経験年数が定められていません。ですからまず3級を受験し、経験を積みながらステップアップを目指すといいでしょう。はんだ付けの技能については、電子機器組立て技能士3級でも充分に実務が行えるレベルになります。

マイクロソルダリング技術資格

マイクロソルダリング技術は、数 mmや数cmの微細な部品をはんだ付けするものです。PCやスマホなどに搭載される、メモリやICなど微細な半導体を基板に接合します。
マイクロソルダリング技術資格には、下記の7種類の民間資格があります。

  • 技術者 (EEG)
  • インストラクタ (INS)
  • 実装工程管理技術者 (PEG)
  • 実装工程技術者 (APE)
  • インスペクタ (ISP)
  • 上級オペレータ (AOPR)
  • オペレータ (OPR)

このうち、はんだ付け作業員向けの資格は、オペレータ、上級オペレータです。受験資格は、3か月以上の実務経験です。

はんだ付けの資格をとった人のキャリアの可能性は?

はんだ付けに関わる資格をとると、はんだごてなどの道具の扱い方や、基板に接合する際のテクニックなど、製造現場で即活用できるスキルを身に着けることができます。
はんだ付けの仕事は、経験者でなくても入れる職場はたくさんあります。しかし研修制度が充実しているとは限りません。資格の取得が応募の際に歓迎要件になっている企業もあり、資格を取得していれば、入社早々から即戦力として活躍しやすいでしょう。電機、電子分野などではんだ付けを必要とする仕事を希望する場合は、あらかじめ資格に挑戦しておくのもいいでしょう。
電子機器組み立て技能士は、国家資格としての一般認知度も高く、上級に挑戦しつづけることでキャリアアップにつながります。特級技能士になると、部門管理職や独立コンサルタントとしての道も開かれます。
マイクロソルダリング技術資格は、はんだ付けの作業以外にも、自動化実装ラインの工程管理や品質管理など、さまざまな用途・ニーズにあわせた内容構成になっています。上位資格に合格すると、現場の指導者や組織のまとめ役として、仕事の幅を広げることが可能になります。

はんだ付け資格はどうやって受験するの?
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はんだ付け検定の申し込みは、「日本はんだ協会」のWebサイトから申し込みできます。事前講習と検定のセットで申し込みを受け付けていますが、どちらか片方だけの申し込みも可能です。また、ファックスでも申し込みできます。
電子機器組立て技能士は、各都道府県の職業能力開発協会から受検申請書を取り寄せ、申し込みます。その際に実技試験の課題についても事前に伝えられますので、試験の前によく練習しておくといいでしょう。
マイクロソルダリング技術資格は、認定スクールを通して申し込むか、マイクロソルダリング技術教育・資格制度のWebサイトから申請書をダウンロードし、FAXにて申し込みます。

まとめ

はんだ付けに関する資格は、初心者や趣味のレベルからチャレンジできるオススメの資格です。電子機器の基板組み立てを行う上で重要な位置づけにあり、奥が深い技術なので、キャリアアップの選択肢はたくさんあります。試験はグレード別に何段階か用意されているので、すでに実務経験のある方でも、さらなるステップアップを目指すことが可能です。各検定の主催者のページに詳しい案内があるので、興味のある方は、ぜひ確認してみてください。