2020.10.05

銀ろう付け技能者資格って役に立つ資格?取得難易度は?どんな問題がでる?などを解説!

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はじめに

皆さんはろう付けというのをご存知ですか? 溶接の一種なのですが、DIYなどでも比較的簡単にできる接合でたくさんの道具が売られています。ろう付けってどんな場面で役に立つと思いますか?やっぱり製造業ですよね。ここでは、そんな「ろう付け」技術の一種である「銀ろう付け技能者検定」について解説していきます。

銀ろう付け技能者資格ってこんな資格

銀ろう付けは、電子機器やアクセサリー作成など、細かな金属部品の接合に使われています。ろう付けは、はんだ付けと同じ「ろう接」の技術のひとつで「異なる金属をつなぐ」方法です。接着剤で接合する方法、ナットとボルトで固定する方法、バチバチと火花を散らす電気溶接などいろいろな接合方法があります。その中でも「ろう付け」は接合の強度が強いため、古くから利用されてきた技術になります。奈良の大仏もこの「ろう付け」で作られています!
たとえば思い出の品のシルバーアクセサリーやジュエリーを修復したいとき、最先端の宇宙で使う電子部品を作りたいとき、繊細な金属部品をつなぎとめるには高い技術力が必要になりますよね。でも、いいものを作るためには、ただ何となくがんばっていても、なかなか上手くいきません。銀ろう付け技能者資格は、その技術力をきちんと保証するための検定です。

銀ろう付け技能者資格を取る人はこんな人たち

銀ろう付け技能者資格は、仕事として工場などで製品の溶接を行う職業に役立つ資格です。工業高専の学生の挑戦や、製造業の職種でキャリアアップのひとつとして挑戦する人も多いようです。銀ろう付けは技術のばらつきが出やすい手作業なので、銀ろう付け技能者資格をもっていれば「きちんとした技術を持った人」というイメージにもなりますね。銀ろう付けを行う企業に転職しようと思っている人には、今後のヤル気をアピールできる材料になります。

試験を受けるための条件として、ろう付け経験が1ヶ月以上で15歳以上の者で、かつ下記の3つの事項のいずれかを満たしている人でなければなりません。

  • (1) 労働安全規則に基づく「ガス技能講習」を修了している
  • (2) 在学中の高等学校または職業訓練機関において(1) 同等の安全教育、技能講習を修了している
  • (3) ガス溶接作業主任免許を取得している
銀ろう付け技能者資格があることでできる業務って?
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銀ろう付けにはさまざまなメリットがあります。銀ろう付けは、溶接する素材を熔かすことなく接合し、加工する前の形状を保ちます。そのため外観に歪みや変形がほぼ起きません。「溶接する素材を熔かさない」特徴によって、かなり小さな部品でもきれいに溶接することができます。形や内部に複雑な構造を持つ重要な製品には有効です。最もポピュラーな用途として「真鍮」「銅」を強くつなぎとめることができます。アルミニウムやマグネシウム以外であれば、ほかの金属でも「鉄」「ステンレス」など、「銀ろう」で問題なく溶接できるといわれています。またろう付けは、すきまに金属を熔かしこんで接合する技術のため、気密性が高く、比較的簡単に空気や液体の漏れを止めることのできる技術です。配管部品に利用しやすい技術ともいえます。
取り扱いには十分注意が必要ですが、作業の幅が断然広がるので今までできなかったことにも挑戦できます。身につけておけば、DIYといった趣味から工場などの製造メーカー、アクセサリー修復の仕事にも幅広く役立つでしょう。

銀ろう付け技能者資格にはどんな問題が出る?

銀ろう付け技能者資格は、実技試験となります。JIS Z 3819に基づいて行われ、種類ごとにろう付け姿勢や試験材料が異なります。
下向き姿勢では銅板(薄板)・炭素鋼板(薄板)・ステンレス鋼板(薄板)、水平固定では銅管(薄肉管)を扱いますので、練習に励みましょう。
また初めて受験をする際には、学科試験があります。出題分野は以下の通りです。

  • 1)銀ろう付の一般知識
  • 2)銀ろう付器具の構造と操作
  • 3)銀ろう付材料
  • 4)銀ろう付継手の性質
  • 5)銀ろう付部の試験と検査
  • 6)銀ろう付作業での安全衛生
銀ろう付け技能者資格はどうやって勉強すればいい?
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では銀ろう付け技能者資格に合格するにはどうしたらいいでしょうか?学科試験の対策としては、日本溶接協会(JWES)が発行している『JIS銀ろう付け受験の手引き』を読むことになります。1冊2,200円+税です。実技試験は実際に指定の材料を使い、何度も練習すれば上達します。上手な方に見てもらいましょう。合格基準は、学科は正答率が60%以上、実技はJIS規格に合うかどうかです。
合否結果は受験後2ヶ月後程度で通知され、無事合格していたら指定機関にて認証手続きが行なえます。

銀ろう付け技能者資格はどうやって受験する?

試験は各都道府県で行っていて、試験日も指定機関によって違います。1ヶ月に1回程度行っています。気になる場合は各都道府県指定機関に問い合わせるか、日本溶接協会 溶接技能者のホームページで確認してみてください。受付は試験日の35日前まで、定員に達し次第受付修了になってしまうので、早めに申請するほうが安心です。学科受験料1,100円、種類によって異なりますが実技受験料6,400〜7,410円が必要です。申し込みにはパスポート用の大きさの写真も必要になります。
実技試験に必要な作業着、安全防具、工具類、溶接材料はすべて忘れずに持参しましょう。そのほか事前に郵送された受験票、学科試験を受けるときは筆記用具など試験に必要になるものは自分で準備します。

まとめ

銀ろう付け技能者資格は、「銀ろう付け」技術に関する知識・技量をもった技術者であることの証明になる資格です。専門的な知識を必要とする資格となります。銀ろう付け技能者資格を取得することで、高い技術力をアピールできるでしょう。