2020.10.26

国家資格のクレーン免許5種!それぞれの特徴を紹介!

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はじめに

「クレーン免許」と聞いてまず思い浮かぶのは、建設現場で物を吊り上げる姿ではないでしょうか。しかし、実際はどのような仕事が行え、どのような業務に携わることが出来るのかと考えた時、あまり情報がないのが事実です。
そこで今回は、国家資格である「クレーン免許」を取得するとどのような仕事が行え、どのような業務に携わることができるのかを紹介したいと思います。

国家資格(免許)を取得しクレーン運転士として働く

実は、クレーン免許にはさまざまな種類に分かれた資格が存在します。資格の取得内容によって扱えるクレーンの種類、吊り上げる重さ、取得するための実技、受講時間等が異なります。

クレーン免許の正式名称と種類
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クレーン資格は用途によって大きく分けて「クレーン・デリック運転免許」と「移動式クレーン運転免許」の2種類があります。
デリックとはクレーンの種類を指します。クレーン、デリックともに荷物を吊り上げる点では変わりはないのですが、クレーンは動力によって荷を吊り上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置です(クレーンにも天井クレーン・橋形クレーン・ジブクレーン・テルハ等の種類があります)。デリックの場合は動力によって荷を吊り上げることを目的として使用される機械装置です。

大きな違いとして「吊り荷の水平移動」はデリックの要件にはなく、デリック自体に水平移動が出来るものと出来ないものが存在します。

免許、技能講習、特別教育の違い

クレーン免許に限らず、建設業や製造業などの会社では「免許・技能講習・特別教育」という言葉をよく耳にするかもしれません。これらは「資格取得」という点に関しては同じ意味ですが、それぞれ行える業務が変わってくるので注意が必要です。
「免許・技能講習・特別教育」は一定の危険有害な業務に就業する場合には必ず必要となる資格です。危険有害な業務とは、クレーン運転業務をはじめ、フォークリフトの運転や玉掛け業務、溶接技術など代表例として上げられます。
また、「免許・技能講習・特別教育」に関しては上下関係があり、最上位が「免許」、次に「技能講習」、その下に「特別教育」という順番になります。

  • 免許:国家資格、国の試験を受験
  • 技能講習:都道府県労働局長から登録を受けた講習の受講
  • 特別教育:社内、または社外の教育を受講

大きな違いとしては、使用できるクレーン重機や吊り上げ限界値が変わってきます。車の免許にも「普通・中型・大型」とあるように危険業務も段階分けがされています。その分、難易度も変わり「免許」の場合は国家試験を受験し、その合格者のみに資格が与えられます。「技能講習」の場合は都道府県労働局長に登録されている期間での受講が可能です。「特別教育」は社内で実施する場合や、社外で受講して知識を得る形で受講することが可能です。
移動式クレーン免許を例にすると、吊り上げ荷重が5t以上のクレーンの場合は「免許」が必須となります。1t以上5t未満のクレーンは「技能講習」の修了で運転が可能です。また、1t未満のクレーンは「特別教育」で運転ができます。

受験合格難易度、受講、実技の時間も変わるので、自分が使用する用途にあった内容を受験、受講することをおすすめします。

クレーン運転士の免許にはどんな種類があるの?
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クレーン運転資格には種類があることがわかりました。その中でも難易度の高い「クレーン運転免許」の種類について紹介します。

・クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)

クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)はクレーン限定の免許で、デリックの運転は不可になります。吊り上げ荷重が5t以上可能で、全てのクレーンの運転や操作ができる免許です。また、デリック限定の免許は存在しませんのでご注意ください。

・クレーン・デリック運転士免許(限定なし)

クレーン・デリック運転士(限定無し)とは、名前の通り、クレーンもデリックも両方運転が可能となる免許です。吊り上げ荷重が5t以上の天井クレーン、橋形クレーン、ジブクレーンなどの各種クレーン、デリックを運転することができます。デリックを運転しなければならない場合はこの限定なしの資格を取得する必要があります。

・クレーン・デリック運転士免許(床上運転式限定)

この免許は吊り上げ荷重が5t以上のクレーンの操作が可能です。しかし、床上で運転し、横行時には荷の移動に関係なく一定の位置で操作するか、運転者がクレーンの走行とともに移動する方式のクレーンに限定した運転免許です。簡単に説明すると、運転士が動かずスイッチを持って運転するパターン(運転式)と、クレーン動きと共に運転士も一緒に移動するクレーン(操作式)のことを指します。クレーン・デリック運転士(床上運転式限定)の免許があれば「運転式、操作式」が運転可能となります。

・揚貨装置運転士免許

揚貨装置運転士免許は、荷重が5t以上の揚貨装置(港湾荷役の作業をするために船舶に取り付けられたクレーンまたはデリック)の操作に必要な資格です。貨装置運転士の免許があると、船舶についているクレーンを操作できるようになります。この揚貨装置は他のクレーン運転士の免許で操作できないので、クレーン免許の中でも専門性に特化した免許といえるでしょう。

・移動式クレーン運転士免許

移動式クレーン運転士免許は、吊り上げ荷重5t以上のクレーンを扱うことが可能な資格です。その名の通り、移動式クレーンは「クレーン自体が移動することができる」ので、クレーンの中でも特に需要の高い資格になります。
5t以上という制限なので、大きいものでは100t以上の大型クレーンも運転可能です。
しかし、走行する場合の免許とクレーン操作資格は違いますので、大きなクレーン車を公道で運転するには自動車運転免許が必須ですのでご注意ください。

まとめ

クレーン運転士にもさまざまな用途に分かれて資格が存在します。幅広く使用できる移動式クレーン免許やクレーン・デリック運転士免許(限定なし)に対して、各種限定資格と揚貨装置運転士は専門性の高い資格になる分、エキスパートとして働くことが可能です。現場に適した資格取得をし、取り組むことができれば確実にスキルアップが可能な資格といえるでしょう。

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