2020.10.28

転職に強いクレーン・デリック運転士!特徴と強みを紹介!

記事メイン画像
はじめに

幼い頃に建設現場や、港でクレーンを見つけた時の興奮は今でも鮮明に思い出すことができます。ワイヤーに荷物が結ばれ、空中に浮いている姿は、なんとも言えない魅力とかっこよさがありました。そんな、クレーン資格には床上操作式、小型移動式、移動式など、さまざまな種類があります。それに合わせて運転・操作するための資格も複数存在します。ここでは多くの種類のクレーンを運転できる資格「クレーン・デリック運転士」について解説します。

クレーン運転士って?

クレーン運転士は建設現場だけでなく、工場などでの荷物や資材運搬でも必要とされています。クレーンとは、荷物を動力を用いてつり上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置です。
クレーンというと荷物や資材を「吊り上げる」イメージが強いと思いますが、実は吊り上げるだけではクレーンとは言えません。吊り上げて、水平に運搬してはじめてクレーンと呼べるのです。
また、動力が必要になるのは吊り上げるときで、水平の運搬には必ずしも動力は必要ありません。水平移動の際、人力で動かしてもクレーンに含まれるわけです。

クレーン・デリック運転士とは?

「クレーン・デリック運転士」はクレーン、デリックを運転するための国家資格です。
以前は、クレーン運転士とデリック運転士は別々の資格でした。労働安全衛生法関係法令の改正により2006年に統合され、現在は「クレーン・デリック運転士」という名称になっています。
ジブクレーンや天井クレーンなどの運転が可能になれば、ビル建設や製鉄所などあらゆる現場で活躍することができます。

クレーンとは、荷物を動力を用いて吊り上げ、これを水平に運搬することを目的とする機械装置です。
デリックとは、荷物を動力を用いて吊り上げることを目的とする機械装置です。マストまたはブームを使用し、原動機を別置し、ワイヤロープにより操作されるものを言います。
※ブーム:腕のように伸びているメインの棒状部分
クレーンとデリックは、荷物を吊り上げるという点では同じ機械装置です。
これらの違いは「本体の部分に動力装置を備えているかいないか」です。デリックとはブームの操作とは別に原動機があり、ワイヤロープを操作するものです。

クレーン・デリック運転士3種
記事画像

クレーン・デリック運転士免許には、3つの種類があります。「限定なし」「クレーン限定」「床上運転式クレーン限定」です。
3種類のどの免許を持っているかで、運転できる機械装置の種類が変わります。

・クレーン・デリック免許「限定なし」

吊り上げ荷重5t以上のクレーン、床上運転式クレーン、床上操作式クレーン、跨線(こせん)テルハ、デリックが運転できる資格です。吊り上げ荷重5t未満のクレーンも運転できます。
※跨線テルハ:鉄道において荷を吊り上げ,線路を越えて使用されるクレーンの一種

・クレーン・デリック免許「クレーン限定」

吊り上げ荷重5t以上のクレーン、床上運転式クレーン、床上操作式クレーン、跨線テルハが運転できる資格です。「限定なし」と違いデリックの運転はできません。
吊り上げ荷重5t未満のクレーンも運転できます。

・クレーン・デリック免許「床上運転式限定」

吊り上げ荷重5t以上の床上運転式クレーン、床上操作式クレーン、跨線テルハが運転できる資格です。吊り上げ荷重5t未満のクレーンも運転できます。

クレーン・デリック運転士の資格はどうやって取得するの?
記事画像

クレーン・デリック運転士の免許試験は、全国の安全衛生技術センターで行われます。
誰でも受験可能ですが、免許の交付は18歳以上です。
試験内容は学科試験と実技試験です。(実務経験や取得免許等により、科目免除をうけることができます)

学科試験の科目は4つです。

  • クレーン及びデリックに関する知識 10問(30点)
  • 原動機及び電気に関する知識 10問(30点)
  • クレーンの運転のために必要な力学に関する知識 10問(20点)
  • 関係法令 10問(20点)

試験時間は2時間30分で40問が出題されます。問題は5個の選択肢の中から回答を選ぶ形式です。(免除者は試験時間、問題数が異なります)

実技試験の科目は2つです。

  • クレーンの運転
  • クレーンの運転のための合図

試験の方法は以下のように決まっています。
クレーンの運転では、重量を確認し、荷を吊り上げ、定められた経路により運搬し、定められた位置に卸すこと。
クレーンの運転のための合図では、荷を吊り上げ、運搬し、卸すことについて、手、小旗等を用いて合図を行うこと。

試験の合格基準はこのように決まっています。

    学科試験
  • 総得点で満点中60%以上の得点率、各科目が満点中40%以上の得点率であること。
  • 実技試験
  • 減点の合計が40点以下であること。

学科試験の合格率は50〜60%台で推移しています。国家試験のなかでは、合格しやすい状況だと言えます。

実技試験の合格率は、およそ40%台後半で推移しています。学科試験に比べて合格率が低いですが、そこはあまり心配しなくて大丈夫です。
実はクレーン・デリック運転士の免許試験には「免除制度」があります。指定のクレーン教習所に入校して、実技教習終了試験に合格することができれば、安全衛生技術センターでの実技試験をパスできるのです。
教習所における実技教習は、安全衛生技術センターの実技試験に比べればクリアしやすいです。クレーンの実務経験がない、もしくは少ない方は教習所を活用するルートが主流です。

クレーン・デリック運転士の試験を受験するには、まず受験申請書が必要です。申請書は「安全衛生技術試験協会」(本部)や各地域の「安全衛生技術センター」で無料配布されています。また、申請書は郵送で請求することもできます。
受験申請書を提出(窓口に直接、もしくは郵送)して、受験票を受け取れば準備はOK。あとは試験にのぞむだけです。
受験するためには学科試験は手数料6,800円、実技試験は手数料11,100円が必要です。

試験に合格した後、免許を申請します。申請の際には、申請料として収入印紙1,500円分が必要です。

まとめ

クレーン・デリック運転士の資格を取得し、実務経験を積めば、専門知識と技術を持った貴重な人材になることができます。将来の転職、年収アップにも役立つ資格です。
さまざまな現場で活躍できるクレーン運転のスペシャリストを目指して、クレーン・デリック運転士の資格取得を目指してみてはどうでしょうか。