2020.11.17

一級ボイラー技士は活躍の幅を大きく広げられる資格

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はじめに

ビル・病院・工場・発電所など、ボイラーはさまざまな場所で使われています。ボイラーは高温・高圧の状態になるため、ボイラーを取り扱うためには国家資格が必要です。今回は、ボイラー技士の中でも、就職・転職などで活躍の場を大きく広げられる一級ボイラー技士について紹介します。

一級ボイラー技士はほとんどの施設の作業責任者に

ボイラーを取り扱う作業を実施する場合には、必ずボイラー取扱作業責任者が必要です。二級ボイラー技士の免許を取れば、ボイラーを取り扱う作業自体を行うことは可能ですが、大きなボイラーを取り扱う場合には取扱作業責任者の元で行う必要があります。一級ボイラー技士を取れば、二級ボイラー技士よりも大きな規模のボイラーまで責任者になれます。
取扱作業責任者になれるボイラーの規模は、貫流ボイラーとそれ以外のボイラーで異なっています。貫流ボイラーの場合には、伝熱面積が250m2以上のボイラーまで取り扱うことが可能です。これはすべての貫流ボイラーを取り扱えるということを意味します。また、貫流ボイラー以外の場合には、伝熱面積が500m2未満までのボイラー取扱作業責任者になれます。

一級ボイラー技士を取ることで、大規模な工場や発電所以外であれば取扱作業責任者になれるため、多くの企業から重宝されます。転職や就職のチャンスも大きく広がっていきますので、目指す価値のある資格です。

一級ボイラー技士の受験資格は複数ある
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一級ボイラー技士になるためには、学科試験に合格することと免状発行の条件を満たすことが必要です。一級ボイラー技士の学科試験を受験するためには、次のいずれかの条件を満たす必要があります。

  • 二級ボイラー技士免許を持っている
  • ボイラーに関する学校を卒業し、1年以上の実務経験を積んでいる
  • エネルギー管理士の資格を持ち、1年以上の実務経験を積んでいる
  • 海技士の免許を持っている
  • ボイラー・タービン主任技術者の免許を持ち、ボイラーを取り扱った経験がある

エネルギー管理士や海技士の資格を取ったり、専門的な学校を卒業した上で実務経験を積んだりすることは簡単ではありません。ボイラー技士としてステップアップしていく際には、まず二級ボイラー技士を取った後で一級ボイラー技士を目指していくのが良いでしょう。

一級ボイラー技士の免状発行には実務経験が必要不可欠

一級ボイラー技士として活躍するための免状発行には、次の2つの条件を満たすことが必要です。

  • 二級ボイラー技士免許を持っている状態で2年以上の取扱い経験、または1年以上のボイラー取扱作業主任者の経験
  • 一級ボイラー技士免許試験(学科試験)に合格

一級ボイラー技士になるには、実務経験が必要不可欠です。そのため、二級ボイラー技士を取った後は実務経験を積んでいくと良いでしょう。ボイラー技士の資格を活かしていきたい場合には、二級ボイラー技士を取った後に就職・転職先を検討するときに、ボイラーを取り扱える職場を探すのがおすすめです。

一級ボイラー技士試験の難易度はそれほど高くない

一級ボイラー技士は国家資格ですが、学科試験の難易度はそれほど高くありません。二級ボイラー技士の学科試験と試験範囲は同じなので、二級ボイラー技士を持っているのであれば短時間の勉強で合格できるでしょう。

二級ボイラー技士と同様に、試験範囲は次の4つに分かれており、それぞれ10問ずつ合計で40問出題されます。

  • ボイラーの構造に関する知識
  • ボイラーの取扱いに関する知識
  • 燃料及び燃焼に関する知識
  • 関係法令

代表例として、ボイラーの取扱いに関する知識から過去問題を確認しましょう。

出題例:
ボイラーの運転中の取扱いに関し、次のうち誤っているものはどれか。

  • (1)2個の水面計の水位を対比し、差異を認めたときは、水面計の機能試験を行う。
  • (2)水面計の水位に全く動きがないときは、元弁が閉まっているか、又は水側連絡管に詰まりが生じている可能性があるので、直ちに水面計の機能試験を行う。
  • (3)燃焼量を減らすときは、燃料供給量を先に減らしてから空気量を減らす。
  • (4)炉筒煙管ボイラーの安全低水面は、煙管最後部より炉筒が高い場合には、炉筒最後部から100mm上の位置とする。
  • (5)給水ポンプ出口側の圧力計により給水圧力を監視し、ボイラーの圧力との差が減少傾向にあるときは、給水管路が詰まっている。

正解は(5)の選択肢で、給水圧力を監視し、ボイラーの圧力との差が増加気味のときには、給水管路が詰まっていないか調べる必要があります。
このように知識を問う問題なので、繰り返し勉強をして暗記をすれば問題ありません。

一級ボイラー技士はテキストと過去問で合格可能?
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一級ボイラー技士の試験範囲は二級ボイラー技士と同様です。市販のテキストで知識を身につけ、数年分の過去問題を繰り返し学んでいけば合格できるでしょう。マークシート形式なのできちんと勉強していれば正解の選択肢を選べるようになります。

ボイラー技士の他の資格を紹介

ボイラー技士の資格には、一級ボイラー技士の他に二級ボイラー技士と特級ボイラー技士があります。さらに大きなボイラーの責任者となるには特級ボイラー技士を取る必要があります。詳しくは「ボイラー技士の仕事内容を紹介!ボイラー取扱いには国家資格が必要」にまとめてあります。

まとめ

一級ボイラー技士は、二級ボイラー技士よりも大きなボイラーの作業責任者になれます。巨大な工場や発電所などでなければ、ほとんどの施設のボイラー取扱作業責任者になれるため、転職や就職の際に重宝される資格です。二級ボイラー技士と試験範囲は同じでそれほど難易度は高くないため、実務経験を積みながらステップアップを目指しましょう。