2020.12.02

第一種電気主任技術者はあらゆる電気設備の管理者になれる資格

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はじめに

電気主任技術者は、事業用電気設備の保安監督に必要な資格です。電気設備とは、電気を送ったり分配したりするために必要な設備のことで、オフィスビルや商業施設、工場、発電所などさまざまな場所にあります。今回は、第一種電気主任技術者の仕事内容や受験資格、勉強方法について解説していきます。

第一種電気主任技術者はすべての電気施設で働くことが可能
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電気設備の保安監督をするためには国家資格である電気主任技術者が必要です。電気事業法によって事業用電気設備には、必ず電気主任技術者を設置することが求められています。資格の種によって対応できる電気設備の電圧が異なっており、第一種電気主任技術者は電圧に関わらずすべての電気設備の管理することができます。
電気設備の保安監督の仕事は、設備の点検や修理、その計画や立ち合いなどです。高電圧が流れている電線の近くでの作業は、重大な労働災害や大きな事故の危険性が高くなります。そのため、作業者が安全に作業を行っていることを確認したり、作業が指示通りに行われているかをチェックするためには、知識が必要になります。そのため、監督業務を行うためには資格取得が求められているのです。

第一種電気主任技術者はどんな人が受験する?

第一種電気主任技術者は、保安監督する電気設備に電圧の制限がないため、非常に需要の高い資格です。たとえば、第二種電気主任技術者は、17万ボルト未満の電気設備が対象となっているため、大型の発電所や変電所などの保安監督はできません。しかし第一種であれば電気設備の電圧を問いませんので、大きな発電所や変電所でも保安監督業務を行うことができます。そのため、第二種をもっている人でより大きい施設で働きたい人やステップアップを狙っている人にはぜひ挑戦してもらいたい資格です。また、すでに電気工事士の資格をもっていて、電気工事の仕事をしている人が、昇格や昇給を目指して受験するケースも多いです。電気設備は電気を使用する場所には欠かすことができないものですから、電気主任技術者の需要も高く、資格を取得すると大きなメリットがあるでしょう。

第一種電気主任技術者は受験資格なし

第一種電気主任技術者には、事前に必要な受験資格がありません。そのため、第二種や第三種を受験せずに、第一種から受験することも可能です。試験は、一次試験と二次試験にわかれており、一次試験は理論、電力、機械、法規の4科目があります。二次試験に進むためには、一次試験での4科目すべてに合格しなければいけませんが、すでに合格している学科には受験免除制度もあります。合格した科目については、翌年度と翌々年度は受験が免除されますので、3年以内に4科目に合格すれば、二次試験に進めます。二次試験に落ちた場合には、翌年度の一次試験は免除されますが、二回二次試験に落ちた場合には、再び一次試験から受験しなければいけません。
試験を受けずに第一種電気主任技術者を取得するためには、認定取得という方法があります。認定は、経済産業省が指定した学校を卒業するか、第二種電気主任技術者の資格をもっていて、5年以上の実務経験がある場合に申請でき、認められれば第一種電気主任技術者が取得できます。

第一種電気主任技術者は難易度が高い試験
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第一種電気主任技術者の試験難易度は非常に高く、簡単に合格することはできません。令和元年の一次試験受験者数は約1500人で合格者は400人弱、二次試験の受験者数は約600人で、合格者は約100人でした。合格率は低く、きちんとした対策が必要でしょう。
一次試験の理論科目では電気理論、電子理論、計測に関する内容が出題されます。電力科目では、発電所、変電所の設計、運用に関する問題が出題され、機械科目では電気機器に関する知識が問われます。法規科目では、保安に関する法律の知識が必要です。
二次試験では、電力、管理に関する内容と、機械、制御に関する内容が出題されます。一次試験よりもさらに難易度が上がります。
一次試験はマークシート方式で、二次試験は記述方式です。

第一種電気主任技術者は多くの勉強が必要!

第一種電気主任技術者の試験勉強では、まずは科目ごとに過去問を解いてみて、難易度や試験範囲を確認するといいでしょう。内容が難しいため、使いやすい参考書も見つけにくいかもしれません。もしも学生時代に電磁気学を学んでいたなら、当時の教科書を見返してみるのもいいかもしれません。電磁気学を学んだ経験がない場合には、職場ですでに第一種電気主任技術者の資格を取得している人などに、おすすめの参考書をきいてみましょう。一次試験の4科目は3年間で合格できれば2次試験に進めるので、一度に4科目すべての合格を目指すのではなく、科目を絞って勉強し、2~3年かけて一次試験を突破する方法もあります。

電気主任技術者の第二種と第三種は?

電気主任技術者は第一種のほかに、第二種と第三種があります。
第二種は、電圧17万ボルト未満の電気設備、第三種は電圧5万ボルト未満の電気設備が保安監督できます。
詳しくは「電気主任技術者は電気設備の保安監督者!どのような資格か解説!」に記載されています。
電気主任技術者の受験申し込みは郵便申し込みとインターネット申し込みが可能で「一般財団法人 電気技術者試験センター」のウェブページから申し込みできます。
受験費用は約12,000円です。

まとめ

第一種電気主任技術者は難易度が高く、合格率も低い資格だとわかりました。難しい資格ですが、需要も高くチャレンジする価値は十分あります。取得できれば、キャリアを大きくステップアップさせることができるでしょう。