2021.01.12

【後編】ICT施工が広まると女性や若者が多く働くようになる!?ICT施工を広めるための課題とは?株式会社PCTの担当者に聞きました!

はじめに

ICT施工講習の責任者、足立真哉さんへのインタビューの前編では、ICT施工とはどういうものなのか、PCTが行っている講習などについて紹介しました。さて後編では、これまでICT施工講習を実施して見えてきた課題、ICT施工が広まった社会はどうなるのか、広めるためにPCTはどんな動きをしていくのか。足立さんが考えるPCTとICT施工の未来を紹介します。

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ICT施工を行う人材の採用や育成が大きな課題

――これまでの活動から見えてきた課題はありますか?

たくさんありますね…。
大きいのは講師の不足です。例えばICT建機の操作を教えるためには、ICTの知識だけでは足りません。建機の知識もあることが大事だからです。
ただ講師の不足にかんしては、幸いにも私たちが講習で使っているICT建機をつくった技術者を講師として迎えることができているので、今のところなんとか対応できています。これから受講者が増えていくことを考えると、講師が不足するのは目に見えていますね。

解決策として、設計をはじめとした建機にかんする業務や建設業界に携わった経験がある人なども積極的に採用するようにしています。前にお話ししたとおり、国の考えにも共感し、女性の講師も増やしていますよ。

またドローン測量や、ドローン撮影でのデータをICT建機に正しくセットする3D設計データづくりができる人も足りません。残念ですが今のPCTでは完全に人手不足なんですよね。

そこでこれらに強い会社をリサーチし、事業提携も進めていきます。ただあとで詳しく説明しますが、近いうちにPCTの全国15ある教習所すべてで、ICT施工講習が受けられるようになります。

そのため全国各地で一緒に仕事をしてくれる会社や人材を探しています。しかし正直なところ、ICT施工はこれからのサービスや技術であるため、最適な人材を見つけるのに苦戦しています。

このような状況ですから、お話したことと少し矛盾しますが、今の段階で深い知識や経験はそれほど求めていません。業界未経験、知識がほとんどないような方でも、やる気と今後の伸びしろを感じたら、迎え入れるようにしています。そもそも私だって、前はICT施工にかんしてまったくの素人でしたからね。一緒になって、成長していければいいと思っています。

費用、講習内容、免許制度など課題はたくさん

――そのほかにも課題はありますか?

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ICTの技術の進むスピードが早いので、いま急いでICT建機を買うのではなく、もう少したってから買ったほうがいいのでは。このように考える企業や経営者が多いことです。技術革新のスピードに対して、現場での導入・活用が追いついていません。ICT建機が高価であることも導入への課題になっていますね。

ただ若い世代の経営者など、ICTが当たり前の環境で育った若い社長さんなどは、導入に前向きですし、国としてもICT建機が広まらないことにはICT施工も広まりませんから、導入コストのサポートをすると言っているので期待しています。

また、ICT施工講習をはじめてから1年がたち、受講者の声を通じて得られた課題もあります。

ICT施工についてや基本操作を中心とした講習を行なっていたのですが、そこから先、ICT施工を実際に行ったときのトラブル対応など現場の工事にマッチした内容がまだまだ不足しているという点です。この点においてはまさにPCTの強みでもありますから、受講者の声を参考として定期的にプログラムを新しくしています。

例えば前回の記事で紹介したこれから行う2つのプログラムも、まさに受講者の声を参考にしてつくったものです。現場にフィットした内容を学ぶことができる内容であると自信を持っています。

また今の段階では定かではありませんが、今後も受講者の声やアンケートを参考にしながら、本当に必要とされるプログラムを増やしていきたいですね。

ICT施工講習を受けて取得できるのが、いまの段階では私たちのような企業ごとに発行する民間の修了証だという点も課題です。そこでPCTだけではなく、建機の教習所を運営している建設業界に関連する企業同士で協賛した資格証も作られ始めました。

このような動きをきっかけに、これまでのクレーン免許や技能講習でとれる資格と同様、国や地域が発行する公的な免許や資格になるよう働きかけています。おそらく数年後にはこちらの課題は解決されていると思いますよ。

ICT施工が広まれば若い人や女性が建設業界に増える

――ICT施工が広がることで、建設業界の人手不足や労働者のタイプは変わっていきますか?

ええ、大きく変わるでしょうね。これまで若い人や女性が少なかったのは、建機を思ったように操作できなかったり、測量が難しいなどの問題があったからです。でもこれらの問題はICT施工によってなくなります。体力・肉体的なハードルが下がるので、とくに女性が増えると私は思っています。

若い人や女性が増える理由はもうひとつ挙げられます。これまで説明してきたようにICT建機の操作も含めたICT施工は、これまでの工事の流れとは違います。そのため従来の施工方法に慣れている人よりも、これから身に着けていく若い人たちの方が抵抗なくICT施工を学べると思うからです。

国のポスターなどを見ても女性や若い人をモデルにしているものが目立ちます。同じようにPCTのホームページにも、若い人、女性、外国人が働いている業界の将来をイメージしたものになっています。

日本の人口は2007年からずっと減っていて、働く人も同じく減少しています。建設業界に限らずこれから多くの業界で人手不足が大きな問題となります。建設業界や製造業はとくに人手不足で、2023年には足りない労働者は21万人にもなるといわれています。その対策にもICT施工は大きな力になるはずです。

2025年から先、生き残るにはICT施工が必須

――若い人や女性が働く未来は、いつごろ来るでしょうか。

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2025年には実現しているでしょうね。というのもすでに行われていますが、2025年には国が発注する工事を受けるには、ICT施工への対応が条件になるからです。自治体や民間企業も国に続くでしょうから、ICT施工の導入は各企業に必須になっていくと思いますよ。

まさにそのような未来に向けてPCTも動いています。2つの新たなコースを2021年の年明けすぐに公開するのもひとつですし、その他にも積極的に様々なことを計画しています。そのひとつが、これまで茨城県と香川県の2か所でしか受けられなかったICT施工講習を全国に15か所あるPCTの全教習所で受けられるようにすることです。

ソフトウェアの使い方などオンラインで受けられる内容についてはリモート講習も積極的に活用します。そして2022年には、ICT施工のすべての内容を学べる講習プログラムがある程度のかたちになるよう鋭意進めています。

まとめ

このようにPCTでは、ICT施工をどこでも誰でも簡単かつ便利に、そして現場の内容にフィットした内容で受けられるよう、講習内容をさらに分かりやすくするなど試行錯誤をしています。これからも建設業界で働く方々をサポートしていくのではないでしょうか。ちなみに足立さんは、PCTのICT施工講習のノウハウを、いずれは海外に展開するという大きな計画も話してくれました。これからの建設業界に注目です!