トヨタの生産方式に関して

「工程の進化2」 第28回

青木幹晴

 次に手作業から自動化へ進化させる。
 しかし手作業が機械に置き換わっただけで、仕掛りワークの搬送、ワークのセット・機械の起動、異常の発見等は、従来通りすべて作業者が行わなければならない。
 次に自働化Ⅰである。
 異常が発生したら機械がそれを感知して自動停止しあんどんを点灯させるようにする(このことを自“働”化と言う。「機械も人間の働きをせよ」という意味)。これとともに仕掛りワークの搬送、ワークのセット・機械の起動をすべて自動化する。そうすればその工程には作業者の監視がまったく要らなくなるので、作業者はそこを離れて他の仕事も担当できるようになる。
 しかしそうなると作業者の歩行距離が長くなってしまうので、レイアウト変更して作業者の手作業が必要な機械を集めてしまえば歩行距離を短縮できる。
 最後に自働化Ⅱとして、機械加工での究極のラインの状態を示す。これは手作業機械を一切なくしてしまい、すべてが自動加工、自動搬送となる。作業者の作業は、定期的な品質チェック、規定数に達した刃具の交換、パーツフィーダーへの部品補給、設備への潤滑油の補充、設備異常対応に絞られる。作業者はすべてあんどんの指示で作業を行うことになる。
 これからロット生産から一歩一歩工程を進化させて行かなければならないクライアントに対しては順を追った工程の進化イメージと、最終到達点であるあるべき姿をきちっと示してあげる必要がある。
 ロット生産を行って日々発生する不良等に苦しめられているクライアントにこのような全体の鳥瞰図を示せば、必ず理解してくれる。しかし中国の場合は、出来高制賃金制度など根幹の体制も変革させていかなければならないため、改善を進めるには相当の努力が必要となる。
青木幹晴(あおき みきはる)プロフィール
1955(昭和30)年、愛知県豊橋市生まれ。
1978(昭和53)年、早稲田大学商学部を卒業。
トヨタ自動車工業へ入社以来、人事部(海外人事関係)、経理部(債権債務管理)、財務部(輸出入経理)などの本社機能 を経て、現場の本社工場・原価グループ(鍛造工場能率・製造予算管理、たな卸し本社工場事務局)、本社工場・生産管理室(車体・塗装・組立工場生産管 理)、米州事業部(海外生産車の原価企画)、田原工場・原価グループ(成形工場能率・製造予算管理)、田原工場・生産管理室(エンジン・鋳造工場生産管 理)、などを経験。
一貫して、トヨタ生産方式の「石垣」ともいえる「生産管理・原価管理・要員調整」の実務を担当し、さらに「天守閣」としての「トヨタ生産方式現場改善」までを実践。トヨタ生産方式部課長自主研メンバー。「かんばんのフローラックラベルへの活用」等で、多数の表彰を受ける。
2004年、基幹職(課長級以上)のチャレンジキャリア制度(転出促進制度)に応じ、40代でトヨタ自動車を退職。
退職後、オーエスジー株式会社へ入社し、トヨタ生産方式の導入に活躍。
2007年、オーエスジーを退職し、豊田生産コンサルティング株式会社を設立。